マクタン空港には何度も降りているし、結婚した年の大晦日は中心地であるセブで過ごしたこともある。フィリピンでは各地のダイビングスポットを訪ねてもいるのに、絶好のロケーションであるマクタンには潜ったことが無かったのです。ここには結構な数のダイビング・ポイントがあることを知りながら素通りしてきたのは、多分に初めて訪れた時の悪印象が残っていたからかもしれません。

あの時わたし達は、ダブルブッキングというアクシデントにマクタン島からマニラまで沈没しそうな船で戻り(実際に翌年沈没して多くの犠牲者を出した)、さらに一名分のチケットしか無いということで新妻(プッ)を独りマニラに残して私はTシャツ&短パン姿で真冬の日本に先に帰国したのでした。さて、そんな想い出が残る島は果たして今回、どんな想い出に塗り替えてくれるのでしょう?

台湾の真下に位置するフィリピンは、7000以上もの島々があるそうです。今回訪れたマクタン島はセブに向かう際の空港もあり、いまさら説明するまでもない有名な島ですが、一応地図なども載せておきます。ダイビング・ポイントはこの島の南東部に集中して点在し、マクタン島の東部にはオランゴ島があり周辺は見事な環礁地帯になっています。
日本からはこのマクタンへの直行便も飛んでいるので、海外のダイビングならサイパンに次ぐ利便な島と言えるでしょう。しかしながら、わたし達はマイレージ利用だったのでマニラ経由となりました。マニラから国内線に乗り換えてマクタン入りです。
空港では200PHP(フィリピンペソ)の利用料を徴収されます。マニラ空港ではこれに空港利用税550PHPが加算されます。また、国内線は2009年9月から荷物重量制限が厳しくなっていて、1sオーバーにつき100PHP取られました。マニラ空港は非常に不便で、国際線と国内線乗り継ぎにバスかタクシーでの移動となります。隣接してるんですけどね。移動にはクーポン・タクシー(窓口での前払い)、シャトルバス(無料)、メータータクシーとあります。
で、空港を一歩出ると必ずポーターが寄ってきて「タクシーか?」と聞いてきます。「そうだ」と答えると、勝手に荷物をゴロゴロしてタクシーに乗せます。そして「チップ!」と手を出してきます。無視してると更に「気持ちだけ」と日本語で催促します。
マクタン島と今回潜ったポイントと潜りたかったポイント
フィリピン名物のトライシクル 到着したその日は、本当に気持ち程度のチップをあげたのですが、あまりに皆が皆、同じ事を言ってくるので2度目からは完全に無視しました。あまり安易にあげちゃうと、日本人はみんなチップをくれるものと思い込んでしまいますからね。これからはお金持ちの中国人にねだってください(笑)。でもフィリピンって韓国人は多いですが中国人はあまり来ないようですね。
白いタクシーはボラれるので注意、と聞いていたのですがたまたま乗ってしまった白タクはマクタン空港からホテルまで、値切ったら350PHPでした。ところがホテル専用の送迎サービスは450PHP取られました。値切るなら白タクの方がお得なのかもしれません。ただし車は軽自動車が多いようで、乗り心地に関しては良くありません。フィリピンで一番安い乗り物は自転車の横にリヤカーのような乗車席のあるトライシクル(左写真)でしょうが、流石に空港近辺での着け待ちは見かけませんでした。ちなみにこの時のフィリピンペソ(PHP)のレートは、日本円10,000円が4,800ペソ程度でした。(2010年3月)
マニラには13時くらいに着きました。マクタンへの予約した便は18時発。その前にも3時発の便があったのですが、万が一のディレイに備えて遅い便を予約したのです。マニラ国内線のビルに入ろうとしたら、警官にチケットの提示を求められ、見せるとまだ入れられないと言います。「一本早い便に替えて貰いたいのだ」というと、ここでも無言で手を出してきます。
これは明らかにチップではなくて賄賂でしょう。仕方なく100PHP札を渡すとニッコリ笑顔で通してくれました。なんともはや、凄い国です。しかし賄賂を払ってまで入った国内線発着ロビーでしたが、早い便に変更は出来ませんでした。いっそのことさっきの警官にもう少し握らせて、航空チケットも押さえて貰ったら良かったのかな…なんて考えながら、クーラー効き過ぎのロビーで4時間を潰したのでした。
わたし達がマクタン島で利用したホテルはヒルトン・ホテルです。建物もバスも送迎用自動車も、み〜んなピンクという、とっても趣味の良いホテルでした(汗)。パリス・ヒルトンがこんな色合いにしてくれとパパにおねだりしたのでしょうか。
色使いは最低でしたが、食事も美味しかったし部屋も使い勝手が良くて、わたし達には正解でした。ただ、ホテルが中心街から離れた島の東端にあって、外出するのはちょっと不便です。
プライベートビーチでノンビリもしてみたかったのですが、何だか結構忙しくて、とうとう一度もビーチはおろかプールにさえ入るチャンスがありませんでした。宿泊日数も少ないのだから、何もこんな素晴らしい(!)ホテルでなくても私は良かったのですが、フィリピンは場所によっては貯め水のシャワー施設のところがあり、かみさんがシャワーくらいはちゃんと浴びたいとのことでこのホテルを選んだようです。
夕景のヒルトンホテル
ヒルトンホテルのプライベートビーチ ヒルトン専用バス
出来れば離島前日でも3本潜りたかったのですが、翌朝のフライトは9時30分。逆算すれば前日の15時くらいにダイビングを終えれば良いわけで、3本潜らせて貰えるかな…と思っていたのですがダメとのこと。う〜ん、最近は厳格なショップさんが増えました。まぁ、良い事なんですけど私はちょっと残念。でも無理してガツガツ潜ることもないし、機材も早めに干しておきたかったので、ちょうど良かったのかもしれません。
早めにホテルに戻って機材干したり、少しはリゾート気分を味わっても良いかな…と思っていたら、他のゲストさん達はBBQに行くのだと聞き、私たちもダイビング後に合流させてもらうことになりました。オランゴ島の向こう側に白砂の小島があり、そこに上陸してBBQをするのだそうです。「ビールも飲み放題ですよ」のひと言で「はい、決定!」(笑)。
2本目のダイビングを終えて、さっそく船上でビールを飲みながらBBQアイランド(本当の島の名前、忘れた)へと向かいます。下の写真がその島です。
無人島だと聞いていたので、私たちで島を独占できるものだと思っていたら、アラララ。人でいっぱい、船も一杯です(汗)。
どうやらフィリピンも学校が休みに入ったために、地元の人々が繰り出してきたようです。
マクタン島の船着き場
BBQアイランド遠景 それと韓国からの観光客が団体で来てるらしく、耳をそばだてると「ニダ、ニダ!」とハングル語の会話が聞こえてきます。そういえば5年前、ボラカイに行ったときはほとんどが韓国人でした。フィリピンは韓国で人気スポットのようです。
私たちがダイビングしてた時も、大漁旗ならぬ満員御礼の旗が立っていて不思議ないような船がたくさん目に入りました。ダイビングの船かと訪ねたら韓国からの観光客だとのこと。港周辺には韓国人経営のお店が、ここ数年で激増してるそうです。
そんな話しをしていたら、私たちが休息してる船の直ぐそばにダイバーがプカリ。ン? と海面に目をやると泡がボコボコ出てきます。アレヨ、アレヨと十数人ものダイバーが浮かんできました。どうやら体験ダイビングを楽しんでいたようなのですが、浮上ポイントを誤ったみたいです。しかもガイドさんは一人っきり。これじゃあいつかは事故、起こしますね。
ところで、私は海外に行くといつも感じるんですが、どうして外国の子どもたちってみんな可愛いのでしょう? 日本にだって可愛い子どもは沢山いるのですけど、なんか楽しげな表情してる子どもが少なく感じるんですよね。第一、こんな風に仲間と一緒になって騒いでる光景を最近、とんと見なくなりました。郊外に行けばきっと出会えるとは思うのですが、都会の子ども達から、こんんな楽しげな顔を見ること滅多にありません。
船着き場にいた少年 BBQは魚介類中心でした ワォ! オールヌード・レディです! BBQアイランド
特に観光もしなかったので、早速ダイビングのご報告に移らせて頂きます(汗)。
私は今回のダイビングに、ニタリとの遭遇を一番の楽しみにしていました。このマクタン島の向かい側、オランゴ島の北部に位置するティンゴというポイントで会えるという情報を渡航前に入手していたのです。頭中はニタリ一色です(笑)。さっそくショップの方にリクエストをしました。
わたし「ティンゴというポイントでニタリに会えるそうですね」
ショップさん「ええ。でも確率は50%ほどですよ」
    (50%もあればアタシャ強運だから会えちゃうモンね)
ショップさん「でも、昨日から北風になっちゃってるんで行けないかも」
わたし「エ〜ッ! 行けないんですか!」
ショップさん「でも明日になれば回復するかもしれませんし」
わたし「はい、明日に賭けましょう!」
ショップさん「でも、他に何も見所がないんですよね。ニタリに出会えなければただ潜っただけ…みたいになっちゃいますけど…」
わたし「それでも構いません!」
こんなやりとりがあったのですが、結局行けず(泣)。たった2日の滞在では難しいのは百も承知なんですけどね。
ダイビング・ボートにて
「ヒルトゥガン・ロングリーフSouth21」
最大水深:14.1m 平均水深:8.0m 透明度:20m 水底水温:28.4℃ サンクチュアリ先のドロップオフ。珊瑚がきれいだった。
【見られたサカナ】ダイアナウミウシ、ハナビラクマノミ、ミスジリュウキュウスズメダイ、パープルアンティアス、レッドチークアネモネフィッシュ、アカメハゼ、ミカズキツバメウオほか。

「ヒルトゥガン・ロングリーフNouth20」
最大水深:12.9m 平均水深:8.0m 透明度:20m 水底水温:28.3℃ サンクチュアリ先のドロップオフ。ここも珊瑚がきれいだったけど雰囲気がガラリと異なった。
【見られたサカナ】コロールアネモネシュリンプ、ロウニンアジの群れ!、ナデシコカクレエビ、ニシキフウライウオ、テングカワハギ、ヤマブキハゼ、ニチリンダテハゼ、ミナミギンポほか。

「タンブリ」
最大水深:26.5m 平均水深:13.1m 透明度:15m 水底水温:28.0℃ セスナが沈むポイント。
【見られたサカナ】オランウータンクラブ、ピンクスクワットロブスター、サラサウミウシ、ウミテング(yg)、シソギンチャクカクレエビほか。
ミカヅキツバメウオ
アカメハゼ ニチリンダテハゼ
思わず「昨夜は徹夜ですか?」と聞きたくなっちゃうアカメハゼ 背びれが立派なニチリンダテハゼ
ナデシコカクレエビ 抱卵中のミナミギンポ
透明ですっきすき! ナデシコカクレエビ 写真を撮ろうとしたら威嚇されました。ビンの中にタマゴが!
オランウータンクラブ ピンクスクワットロブスター
この手(足?)の振り上げ方、まさしくオランウータンクラブです ウッホ、ウッホと身体を上下するピンクスクワットロブスター
ウミテングの赤ちゃん イシヨウジ
可愛いウミテングの赤ちゃん(約1p)。まだ独り者です。 このとぼけた眼が好きです(^^) イシヨウジ
【2日目】

「タリマ」

最大水深:16.9m 平均水深:9.7m 透明度:15m 水底水温:28.7℃ 沈潜のあるポイント。沈潜のそばに碑があったけど、あれは何だったのだろう? 聞くの忘れた(汗)。
【見られたサカナ】スパインチークアネモネフィッシュ、ギンガメアジ、ウミシダウバウオ、ホシテンス(yg)、アヤコショウダイ、チョウチョウウオコショウダイ、イエローテイルブレニーほか。


「サンタロッサ」
最大水深:25.6m 平均水深:12.3m 透明度:20m 水底水温:28.5℃ タリマから数分しか離れていないのにまるで異なる景観にビックリ!
【見られたサカナ】ルリホシスズメダイ、ガラスハゼ、アオバスズメダイ、デバスズメダイ、ロクセンスズメダイ、ハナビラクマノミの卵、マダライロウミウシほか。
ガラスハゼです。内蔵、透けちゃってます。健康診断、楽ですね。
イエローテイルブレニー フォルスクリーナーフィッシュ
イエローテイルブレニー君。黄色のシッポ、隠さないでよ! ドラキュラみたいなキバを持つフォルスクリーナーフィッシュ
ハナビラクマノミ ハナビラクマノミのタマゴ
1ハナ、2クマ、3カクレ…これはハナビラクマノミです ハナビラクマノミのタマゴです。目も身体も…、もうすぐふ化ですね。
アヤコショウダイ 珊瑚に乱舞するデバスズメにネッタイスズメ
アヤコショウダイ。私の好きなサカナのひとつです。 デバスズメダイにネッタイスズメダイの群れ
ミゾレフグ クラカケチョウチョウウオ
目が可愛いですナ、ミゾレフグ パンダみたいなクラカケチョウチョウウオ
【後記】
寒いのが苦手なのと、国内の移動よりも安いってことで、ちょっと潜りに行こうか…となるとサイパンになっちゃってたけど、直行便を利用すればここゼブ・マクタンもお手軽で素晴らしいダイビング・エリアだと認識した。海も穏やかでビギナーでも充分楽しめるし、食事も美味しい。まぁ、敢えて難点を挙げるなら繁華街(セブ)に出るのがちょっと面倒なことくらいか。
シャイか、やたら馴れ馴れしいかという両極端なフィリピン人も、これがお国柄だと思えば良い人達の方が多いと思う。日本人と見るや、やたらチップを強要されたのには閉口したけど(苦笑)。でもこの利便さと物価の安さは魅力的だ。きっと再訪するんだろうなぁ、いつの日か。
                 (2010年4月・記)