モルジブだったりこの界隈だったらエルニドだったり、そしてこの島も同様にまさにカップルや家族連れで訪れるに相応しい島だと思う。そんな島だけど私たちもジジィとババァではあるけれど一応はカップルではあるから、この島でバカンスしても良いだろう。とはいえ最近は、ひたすら潜る方にしか興味の無い私だから、きっと大して面白い島ではないんだろうな、となかば醒めた心で向かったのだった。
フィリピン航空はお決まりのディレイを今回もたっぷり1時間もやってくれて羽田空港を午後3時50分に飛び立った。乗り継ぎがあればやきもきしながらの1時間遅れだけど、この夜は新しくできたマニラ空港第3ターミナル内のトランジットホテルに宿泊なのだ。だからちっともイライラせず、待機中の機内でテイクオフ前から爆睡していた。前夜も午前様だったから、むしろありがたいくらいだった。早く着いてもすることも無いし。しかし、到着したマニラ空港第1ターミナルから第3ターミナルへの移動だけで1時間近くもかかったのだった。結局、チェックインは深夜に。かみさんは帰国の際の乗り継ぎを心配し始めた。
 
マニラ空港第3ターミナル内のトランジットホテルは、ホテルとは名ばかりでほとんどカプセルホテルの規模。シャワーなどもあるけれど、シンガポール・チャンギ空港のトランジットホテルに比べるとこのホテルはなんとも不便。それに加えて他の宿泊客の声がとにかくうるさいのだ。耳栓しないと眠りにつけない。
さて、向かう島はディマクヤ島という。この島の名前は知らなくてもクラブパラダイスがあるといえば知ってる人もいるかと思う。徹底したリゾート施設だ。日本からのルートはフィリピンのマニラに向かい、そこから国内線に乗り換えてブスアンガ島に飛ぶ。ブスアンガに着いたら車に乗り、ブスアンガ空港北部にある港(桟橋)まで30分ほどガタゴト揺られる。バンカーボートに乗り換えて更に30分。やっとディマクヤ島クラブパラダイスだ。スタッフの歌とギター演奏で出迎えられる。
私たちはお昼前に到着した。ところが私たちの部屋に先客がまだ居座っていてまだ使用出来ないという。
クラブパラダイス(以下クラパラに省略)がある島はとても小さい。歩いて一周することは出来ないけれど、出来たとしても1時間もかからずに一周できるだろう。その小さな島のレセプションとは反対側、北側にある部屋にいったん荷物を入れ、ダイビングの用意をした。ビーチコテージ(私たちが予約した海側の部屋)より、こちらのヒルサイドコテージの方が部屋は広く使いやすい。レセプションやレストランの集まる側と真反対にあり、そこまで歩くのにちょっと遠い(5分ほどか?)のが欠点ではあるけれど。
予備にあてがわれた部屋でダイビングの準備をして、さっそくハウスリーフでチェックダイブ。いやはや驚いた! 潜って数分もしないうちにタカサゴの仲間やヨスジフエダイ、アジなどの群れがあちこちで見られた。砂地海底にはデカジョーことジャイアントジョーフィッシュもいる。ダイビングに期待していなかっただけに、そんな期待を大きく裏切られて驚き、興奮しまくって初日のダイビングを終えたのだった。ダイビングショップから本来の自分たちの部屋に戻り、シャワーを浴びて夕景ながめながらマルガリータをチビチビ。
 
クラパラのスパハウスの裏手の森の木々には、無数の大きなコウモリがぶら下がっていて、明け方や夕刻になるとキー、キー、ギャー、ギャーとうるさいことこの上ない(右写真)。とても大きくてその数も多いから不気味ではあるけれど、果物などを主食とするフルーツバッドなので危険はない。スパハウスの前を歩くと彼らが落としたであろう廃棄物の臭いが漂ってくる。夕刻、カクテルなどを飲みながら夕景を楽しんでいると、彼らが一斉に食物を探しに飛び立って行く。不気味ではあるけれど、その迫力にしばし見とれてしまう。その時の模様の動画はコチラコチラ
クラパラ施設はところどころ老朽化が目に付く箇所もあったけれど、清潔で使いやすい。難点は洗面やシャワーに使用する水(非飲料)が塩分を含んでいることだ。きっと海水を汲み上げ濾過して供給しているのだろう。その濾過が不充分なんだろうと思う。体や髪を洗ってもベタついてサッパリしない。
 
タヒチのランギロアも海水を濾過して供給していたけど、ほとんど真水だった。濾過器の差だろう。プールで泳いだときも、塩っ気があって、海で泳いでいるようだった。なのでダイビング機材なども帰国してから再度塩抜きし直した。
食事は毎回ブッフェスタイル。到着した日のディナーは砂浜でBBQだった。アラカルトも注文出来るけど、一品の量が多すぎて二品注文したらほとんどを残してしまった。ブッフェの料理はフィリピンにしてはマァマァで、そこそこ美味しかった。
ダイビングハウスは海を背にして施設の右端、レストランの奥にある。ナショナルパークでもあるアポリーフへの遠征ダイビングも行っていると分かったので事前に日本からメールで予約をしておいた。最低遂行人数が3人。私たち二人のほかにあと1名必要なので、事前にリクエストを出しておいて調整してもらうことにしたのだ。先に書いたように、ハウスリーフでも充分楽しめるけどクラパラ周辺にダイビングポイントは少ない。ダイバーが少ないから調査ダイブもしていないんだろうなぁ。
初日のダイビングを終えてショップに戻ると、明日はキョクザンマルに行くという。キョクザンマルがどのような漢字表記なのか分からない。第二次世界大戦中の日本の輸送戦艦で、アメリカ軍の攻撃で沈んだそうな。そのキョクザンマルの船室に潜るか?それとも外側を散策するか? と聞かれたので「中に入ったらどんな魚に会えるんだ?」と問うと、「ナニモイナイヨ~(笑)!」と、アインという名の女性ガイドさん。とても明るくてよろしい。何もいない船室になど入るわけ無いっしょ!ってことで1本目は船尾、2本目は船首に潜った。共に最大水深35㍍超えで2本ともデコストップが出た。この深度に20分以上もいるんだから当然だよなぁ。減圧停止用の予備タンクも降ろしてくれたけど、あまりお勧め出来るダイビングではないなぁ。
クラパラに戻って昼食。その後にハウスリーフのセルフダイビングでもしようかと思ったけれど、今回はリゾートを満喫するのが一番の目的でもあったので、部屋でシャワーを浴びてビール飲みながら読書タイム。
そして3日目。この日はアポリーフへの遠征ダイビング。最近までバンカーボート利用で行っていたそうだ。その船では片道3時間ほどかかるそうだけど、今回はスピードボートを用意してくれていた。それでも片道90分。遠かったけど、さすがアポリーフ。透明度の素晴らしさ(40㍍オーバー!)は勿論のこと、サンゴはピッキピキで元気だしマンタ(私は目撃せず)にホワイトチップ、ナポレオンにカンムリブダイの群れなど、最高のダイビングエリアだった。
アポリーフはナショナルパークで、島に上陸しなくても入島料が必要(いくらだったか忘れた)。アポ島というとドゥマゲッティから行くアポ島が有名だけど、こちらの方が小さく人もこの海域を守るレンジャーの家族数人しか住んでいない。島には井戸やトイレもあるけれど、井戸は覗いたら水面に油やゴミが浮いていておよそ飲めるようなシロモノではなかったし、トイレも男ですら使うにはよほどの度胸が必要。女性なら見ただけで失神するレベル(笑)だった。
2本潜って島に上陸し、持参したお弁当を食べる。お弁当は前日に何種類かある中から希望のものを予約しておく。期待していなかったけれど意に反して美味しかった。島をぐるりと回ってこようかなと思い、ちょっと歩き出したら太陽があまりに強くて止め。数十秒肌を太陽に晒しただけでジリジリと焼けるのがわかった。島にはマングローブの林もあって見て回れるらしいし、島の裏側にはウミガメの産卵場所もあるそうな。しかし水着一丁で散策するの無謀というもの。全身火傷してしまう。
昼食休憩してクラパラに戻る。ここまで来て、しかもこんな素敵な海域に2本しか潜らないってのは、とてももったいない。当初、片道3時間と聞いていたから2本でも致し方ないと思っていたけど、スピードボートで行くなら事前に同行ダイバーと相談して3本ダイブをお願いすれば聞き受けてくれると思う。アポリーフから戻るとまだ3時だった。セルフでもう一本くらい潜ろうかとも思ったのだけれど、持参した本の話が佳境に入ってきていたので今日もシャワーを浴びて読書タイム。この私が珍しいこともあるもんだと自分でも驚く。
 
4日目。この日は初日に見かけたビッグジョーを捜しにセルフで潜ることにした。初日はビギナーさんと一緒で、私がビッグジョーを見つけて歓喜乱舞しカメラを向けた瞬間にフィンで砂を巻き上げられ、ジョー君は穴の中に(泣)。今度は誰にも邪魔されずに画像に収めようと、おぼろげながらの記憶を頼りにデカジョーを捜しに行くことにしたのだった。エントリーするなり、再びタカサゴやギンガメアジの群に歓待されながらデカジョーを探していると、いた! 大人のコブシほどの大きさの顔を穴の中から出してキョロキョロあたりを見回している。このサカナ、顔のデカさとは似ても似つかない身体をしてる。顔の大きさに比較して異常に短い体躯なのだ。その全身を写真に収めたく、ヒラヒラ白いリボンで誘ったけど駄目でした。
このクラパラのハウスリーフはまったく素晴らしくて、午後にも潜りたかったけれど、翌日は帰国なので機材を乾燥させたくて断念。やはり昨日、いつでも出来る読書なんかしてないで潜れば良かったかなぁ。

【水中アルバムページへ】 

【ダイビングログ】