友人から「知り合いが加計呂麻島で宿をやっていて、貸し切りにしてもらったから来ない?」とお誘いがあった。その加計呂麻島、実は我が愚息1号がお気に入りの島で、もう何度も行っていると聞かされていた。ならば私もどんなに素晴らしい島なのかこの目で確かめてみるか、と渡航を決めたのだった。     そして渡航日が近づいてきたある日のこと。その愚息1号が久しぶりに帰ってきたので、島のお奨めの場所を聞くついでに定宿はどこかと問うてみたら、ナント、今回友人が貸し切りにしたお宿だった。何という奇遇!とも思ったのだが、島に行ってみれば食事付きで泊まれる宿は数軒しかなかった。
そもそもこの加計呂麻島(かけろまじま)の存在を知っている人がどのくらいいるのだろう? 奄美大島の西南端に位置する島で、世帯数は約870、人口は約1300人ほどでしかも年々減少傾向にある。

この島に行くには奄美大島から船で渡ることになる。本島の古仁屋(こにや)からフェリーか海上タクシーで渡る。フェリーは大人片道360円、海上タクシーはチャーターにすると一艘7000円ほどだが、定期便もあって、定期便ならそちらは一人片道350円だ。私たち(バディのかみさん同行)は奄美空港から乗り捨てレンタカーを借りて古仁屋港まで行き、船に乗り、再び加計呂麻島でレンタカーを借りて足代わりに利用した。フェリーの時間や欠航の可能性を考えればそれが一番安くて確かだと思ったからだ。
奄美空港から古仁屋までバスで大人一人片道2650円かかる。しかも古仁屋への直行バスは本数も少なく、途中で乗り換えになる可能性が高い。乗り捨てレンタカーは時間制限(6時間)はあるものの、軽自動車ならガソリン代込みで3000円(税別)で借りられるから、二人以上で行くならバス利用よりも断然お得だ。乗り捨てOKってのも嬉しい。そのままフェリーに乗せ加計呂麻でもそれを足代わりにするって方法もあるけれど、フェリーに乗るにも時間的にかなり制限されるし(2つの港を交互にそれぞれ1日3便)、別々に借りた方が無難。実際、フェリーは強風で欠航になった日もあった。それでも海上タクシーは航行していたろうと思う。
奄美空港から古仁屋港までは車で約1時間30分(バスだと3時間ほどかかる)、古仁屋港から2つある加計呂麻島の港、瀬相(せそう)もしくは生間(いけんま)までは20分ほど。
泊まる予定のお宿は加計呂麻島北部の薩川近くにあるので、出来れば瀬相のレンタカーを借りたかったのだけど、あいにく全て出払っているというので生間のレンタカーを借りた。3日と半日借りて12000円。愚息1号情報ではかなりくたびれたボロボロ車と聞かされていたけど、けっこう新しいホンダのゼストだった。島の道はとても狭いのでボロボロ車でなければこれで充分だ。

鹿児島に前泊していたので朝イチの便に乗り込んで奄美空港には8時30分に到着。直ぐにレンタカーで古仁屋に向かい、チケット売り場でもある“せとうち海の駅”でフェリーの出港時間まで1時間ほどブラブラする。車のバイザーにカギと駐車券を入れたままにしてレンタカーはここで乗り捨て。海上タクシー乗り場はこの海の駅からちょっと離れた所にあった。
11時40分発の生間行きフェリーに乗り込み、12時に生間到着。フェリーを降りてレンタカー屋に電話したら港を出た右側に事務所があるから来てくれと言う。スーツケースをガラガラ引きずりながら向かっていたら、自転車にまたがった私を招いてくれた友人とバッタリ。彼らは翌週あるトライアスロンに出場するため、この島で合宿を行っているのだった。
島の道は細いから充分に注意して運転するように、そしてパンクも多いけどこればかりは運だねとレンタカー屋のオヤジさん。レンタカー代を先払いし、まずは昼ご飯を食べにひとっ走り。生間港からすぐの、かなめちゃん(左写真)へ行ってみた。お昼時なのに誰もいない。かみさんは焼そば、私は豚丼を注文。共に500円だった。天気も良いのでお店の外の大きなデイゴの木の下で食べた。日によってはその日に採れた新鮮な魚の定食もあるらしい。
 
食事を終えて島をちょっと回ってみることにした。まずは島の東端に位置する安脚場戦跡公園へ行ってみる。この場所は連合艦隊の停泊地を守るための基地があって、今でも当時の弾薬庫などが残っているらしい。しかし、向かう途中でダンプカーと鉢合わせ。当然擦れ違うことはムリ。こっちの方が小さいのですれ違える場所までバックしようとしたらダンプの方が下がってくれた。そしてすれ違いざまに「この先は工事してて行けないよ」と教えてくれた。今年の台風で道路が崩れて工事中とのこと。行けないのでは仕方ない。Uターンして宿泊地方面に向かう。途中の坂道で先ほどの友人を追い抜く。島のメインストリートは県道614号。島の北側を走っている。島の南側にも地図上では道があるけど、メインの道路の狭さからしたら果たして車で通れるのか甚だ怪しい。島の西端にある夕日の丘に来てみた(右写真)。この日の天気模様では綺麗な夕陽を拝むのはたぶん無理だったろう。 
宿泊先の名は紫微鑾駕と書いてシビランカと読む。薩川の小学校の先にある。全3部屋で柳沢ご夫妻が営んでいる。食事は魚がメインでその日捕れたものをご主人自らさばいて出してくれる。
オープンテラスに隣接した食堂からは細い道路を一本を隔ててベタ凪の湾が望める。その湾の向こうから朝日が昇る。トップに使っているカットはその朝日。なんとも言えない優雅で贅沢な時間が流れている。部屋は全てその湾に向いているので、毎朝朝日で起きられる。私は最終日を除いて日の出前に起きてたけど。
部屋が3部屋しかないので私たちのグループ(全6人)で貸し切りも出来るわけだ。私とバディを除く4人は皆トライアスラー。連日バイク(自転車)、スイム、ランニングとこなしていた。学生時代の合宿を思い出した。私にはムリ。やるとしたら独りでないと出来ないなぁ。でもきっとやらんけど。
加計呂麻島は島の東端から西北端の実久(さねく)神社まで35㎞ほどしかないが、軽自動車がやっとすれ違える程度の細い道でアップダウンも激しい。マイクロバスが公共の足として運行はしている。停留所もあるようだけど手を上げれば止まって乗せてもらえるし、降りる場所も好きな所で降ろしてもらえるようだ。しかし本数は少ない。
トライアスロンには出場しない私は2018年の潜り納めをした。このシビランカでもダイビングは出来るようだけど、タンクの提供とボートでのポイントまでの輸送でガイドはしないとのこと。しかし、シビランカ前の海も泥地の海底でハゼなどはかなり多いらしい。泥地ではあるけど、この湾のとある場所ではとても綺麗なサンゴの群生も観られるそうな。ダイビング後にシュノーケリングで行ってみようかと、その場所を教えてもらったけどウェッブ公開はしないで欲しいとのことなので自粛。
 
何日か潜れるならシビランカ前にも潜ってみたかったけど、2日しか潜れる日がなかったので、ダイビングはガイドしてくれるショップにお願いした。選んだショップは生間に近いリキ。こちらのダイビングショップも宿泊出来る。部屋数は4部屋あった。ボートは20人乗りの大型クルーザータイプで、私たちがお願いした時は貸し切りだった。トイレ、温水シャワー付きで快適な船だったけれど、11月も中旬となれば水温も低く(24度ほど)、二日目は曇りで気温は18度くらい。さすがにイクジット後は震えました。
加計呂麻島周辺にもダイビングポイントはたくさんあるのだろうけど、何せ加計呂麻と本島とは船で10数分の近さ。それ故か潜ったのはほとんど本島近くのポイントだった。
帰京日。
羽田に向かうフライトは15時15分発。生間12時10分発のフェリーでもじゅうぶん間に合うのだけれど、途中でお昼も食べたいので10時30分発の海上タクシー定期便で戻ることにした。名瀬で奄美大島名物の鶏飯(けいはん)を食べ、空港に向かう。空港に近づいたとき、2年前にこの奄美大島に訪れたときにお邪魔した洒落た喫茶店の前を通った。時間もあったので立ち寄りたかったけど、残念ながら定休日でした。

鹿児島1泊、加計呂麻3泊の旅だったけれど、この短さじゃ加計呂麻の良さは知りようもないなぁ。次回はもうちょっと長居をしてみよう。  
           【2018年11月 記】
 
【ダイビングログ】
18日 赤崎
気温:21度 水底温度:25.1度 潜行開始:9時06分 浮上時刻:9時56分 平均水深:14.2m 最大水深:23.5m 流れ=無し 快晴 
【見られたの】ニジエビス、ハダカハオコゼ、ヒレナガネジリンボウ、ヤシャハゼなど
 
18日 黒崎東
気温:21度 水底温度:25度 潜行開始:11時07分 浮上時刻:12時01分 平均水深:11.4m 最大水深:24.0m 流れ=無し 快晴 
【見られたの】ホタテツノハゼ、ネムリブカ、ホシゾラワラエビ、ヒメギンポ、イシガキカエルウオなど
18日 嘉鉄(かてつ)
気温:22度 水底温度:25.2度 潜行開始:13時23分 浮上時刻:14時26分 平均水深:10.2m 最大水深:13.2m 流れ=強! 晴れ 
【見られたの】ハナヒゲウツボ、ヤセアマダイ、ベンケイハゼ、ナンヨウハギ、シラヒゲアカスジエビなど
 
19日 呑ノ浦
気温:18度 水底温度:25度 潜行開始:8時58分 浮上時刻:9時56分 平均水深:10.4m 最大水深:19.9m 流れ=無し 曇り
【見られたの】ニセアカホシカクレエビ、アカスジウミタケハゼ、ニシキフウライウオ、トゲナシカクレエビなど
 
19日 長瀬(のろで)
気温:19度 水底温度:24.9度 潜行開始:11時01分 浮上時刻:11時51分 平均水深:14.3m 最大水深:22.0m 流れ=無し 曇り
【見られたの】アカククリ、ハタタテシノビハゼ、ホウセキキントキ、スミレナガハナダイ、エリグロギンポなど