マタキング島はリゾートですが、どちらかといえばダイビングの為にあるような島でした。島の周辺にはボートで数分で行けるポイントが数多くなって、その内の数ポイントしか潜れませんでしたが、どれも素晴らしいポイントでした。、シパダンへの遠征基地としてのみならず、この島だけでも充分ダイビングが楽しめます。
とは言っても、この島にやって来ていた人たちが皆ダイバーのわけもなく、家族連れやノンダイバーのカップルもいました。島には子供が遊ぶ施設もあるし、ベビーシッターもいました。何日目かの夜、バンドが新婚カップルへ歌のプレゼントをしていました。
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夜、漁り火の明かりと夜空に稲妻が走る日が続き、毎晩天気が荒れましたが、日中は運良く連日晴れてくれました。
この島には水が無く、本島から輸送してるそうで、そのためかさほど湿度を感じることは無かったです。勿論、猛烈に暑いですが。
スタッフは気さくでした。特にレセプション担当の女性三人はみな明るくて親切でした。
ダイビングセンターにはシホさんという日本女性が働いていました。この島の前はパプアニューギニアで働いていたそうですが、私がヴァヌアツのシャツを着ていたら驚かれて、その前にはヴァヌアツでも働いていたのだそうです。
結局、ハウスリーフには1回しか潜りませんでしたが、ガイド無しでゆっくり潜ってみたかったです。それと、その他のポイントにも。
4人で来ていた日本の若いダイビング・グループは、早朝6時にセルフで潜ったりしていたようですが、さすがにそこまでの体力も気力も、私にはありません。もう少し休みが取れれば良いのですが……。この年(2009年)、日本は経済不況で、このゴールデンウィークに16連休という企業も多かったと聞きましたが、私の会社はカレンダー通りで、一日だけ休みを戴き5泊6日(うち機中泊1)で、この島を訪ねたのでした。出来うることなら最低でも一週間は滞在したい島でした。
可愛い女の子に好かれました(^_-)-☆ コタキナバルへの直行便で飛べば、もう少し時間的にも体力的にも楽なのですが、この便は週に数本しかなく、しかも発着曜日が中途半端で利用しづらいのです。
シパダン島周辺の海への入海(?)制限があるからこそ、あんな素晴らしいダイビングが出来るわけで、このマタキング島へのアクセスが良くなってダイバーがガンガン訪れれば、きっと海は荒れて、フレンドリーだったウミガメたちもよそよそしくなってしまうのでしょう。何とも歯がゆいジレンマです。
上空から眺めたコタキナバルも綺麗で、緑まばゆいゴルフ場もあり、初めて訪れたマレーシアは是非とも再訪したい国の一つになりました。
             (2009年5月10日・記)
マレーシアの小学生
5/2 ハウスリーフ(チェックダイブ)

到着したその日にチェックダイブを行います。ダイブセンター前のスロープからエントリーするのですが、入った途端にテンスの幼魚が目の前をヒラヒラ泳いでいるし、桟橋にはウメイロモドキやギンガメアジが群れているし、フウライウオ、カミソリウオ、生まれたばかりのハナミノカサゴの赤ちゃんなど、魚影の濃さに驚きました。寝不足と移動でくたくたの疲れも吹っ飛びました。足がつって困りましたが(-_-;) 

最大水深=23.0b、平均水深=13.2b、透明度=15b、水温=29.8度、気温=25度 流れ=アリ ガイド=ハーディー
フウライウオ
体長5pほどのハナミノカサゴの赤ちゃん 桟橋の側にいたギンガメの群れ
5/2 ガーデン・オブ・エデン

なんとも素敵な名前のポイントですが、海中も名前に負けず劣らずサンゴが見事で素晴らしかったです。マタキング島の南端にあるポイントで、ボートで3分ほどでした。
雨模様の天気がやっと晴れてきて、気温もグングン上昇してきました。海中にも光が差し込んで綺麗です。この島がウミガメの卵を管理&育てているためか、この島周辺はウミガメが非常に多いです。しかもダイバーを怖がりません。一度、カメの方からコチラに寄ってきました。
そのほか見られたサカナはカンムリブダイ、スズメダイ色々、チョウチョウコショウダイの幼魚、ヨスジフエダイの群れ、サザナミヤッコなどなど。

この島のダイビングは時間で決まっていて、8時30分、11時、15時に原則出発します。それ以外の時間、早朝や夕刻そしてナイト(薄暮)など、あとはフリーダイブ出来ます。 

最大水深=24.9b、平均水深=12.3b、透明度=25b、水温=29.9度、気温=29度 流れ=少し ガイド=ハーディー
サザナミヤッコ
ソラスズメダイの群れ チョウチョウウオコショウダイの幼魚
5/3 シップレックポスト

クチールに続く砂州の西側にあるポイント。
この島に物資を運んでいた船が老朽化したので島に引き上げられていたのを修理して運び、再度、船底を壊して沈めたそうです。
名前にあるように船首にポストが着けられてあって、ここに投函してもちゃんと届くそうです。私が潜ったときにもポストを覗いたら、何通か投函されていました。同行のガイドさんは持ち帰ることをしなかったのですが、いったい誰が、いつ引き上げてくるのでしょう? ちゃんとしたポストマン(郵便局員)がピックアップに来るのでしょうか? 聞きそびれました(^_^;)
船の中にはスカシテンジクダイがいっぱい群れていて、チョウチョウウオコショウダイがユラリユラリと一緒に泳いでいました。ここに住んでいたら食事に困ることは無さそうです。
そのほか見られたサカナはツムブリ、スザクサラサエビ、イソギンチャクカクレエビ、スカンクアネモネフィッシュなどなど。
※あまり面白いカットが撮れなかったので1点のみでお許しを(^_^;)

最大水深=25.6b、平均水深=14.5b、透明度=20b、水温=29.1度、気温=24度 流れ=ナシ ガイド=シホさん
スカテンの群れに住み着くチョウチョウウオコショウダイ
5/3 D's Wall(ディーズウォール)

クチールの東端にあるポイントで、船でクチールをグルッと回り込んで行きます。
名前にウォールとあるように、ドロップオフのポイントですがさほど落ち込んでいるわけではなく、40〜50bほどだそうです。
このようなポイントをドリフトするのが好きなのですが、残念なことに流れは少しだけで、しかも途中で方向が逆になりました。壁づたいに往復してきました。
ジョーフィッシュがそこら中にいて、一生懸命寄ってカメラに納めようとしたのですが、すぐに隠れてしまって満足なカットが一枚も撮れませんでした(T_T)

そのほか見られたのはカンムリブダイ、アオウミガメ、アケボノハゼ、ウミウシ色々、ミナミハコフグの赤ちゃん(1pくらい!)などなど。

最大水深=26.1b、平均水深=14.2b、透明度=20b、水温=29.0度、気温=33度 流れ=少し ガイド=シホさん
カンムリブダイ
ダイバーに寄ってきたウミガメ ミナミハコフグの赤ちゃん。体長1pほど!
5/3 スウィートリップスロック

シップレックポストのちょっと北側、クチールの西側のポイントです。大きな岩が3つあるので、このポイント名があるようですが、岩が大きくて壁としか感じられませんでした。
ジョーフィッシュやカニハゼ、ニチリンダテハゼ、アケボノハゼ、オバケインコハゼなどハゼがウヨウヨいました。

そのほか見られたサカナはカミソリウオ、キンチャクフグ、カスミアジ、オニオコゼ、ウミウシ色々などなど。

最大水深=20.9b、平均水深=12.8b、透明度=20b、水温=29.7度、気温=33度 流れ=ナシ ガイド=シホさん
カミソリウオ
ジョーフィッシュ(ちょっとピンぼけ(^_^;) カニハゼの親子?
5/3 シパダン「バラクーダポイント」

さて、いよいよメインイベントのシパダンへと向かいます。実は到着した日から連日、明け方に天気が崩れました。初日は猛烈な雷雨。至近距離に雷が落ちて、とても恐ろしい夜を過ごしました。そして翌日は、今度は猛烈な暴風雨。波が泊まっていたコテージのそばまで押し寄せてきました。
で、この日も早朝から風が強く海は大荒れでした。「これは無理だな」と諦めかけていたら風が止み、出発すると言うではないですか! ヤッタァ〜!と喜んだのも束の間、今度は島を離れて30分ほど走ったところでボートのエンジンが故障(T_T)。
代換えの船に機材を移し替え、再出発したのは9時30分を回っていました(本来は7時30分出発)。
翌朝の飛行機に乗るため、私たちはフライト24時間前でダイビングが出来なくなります。せっかくシパダンまで行ってもシュノーケリングでは悲しい(T_T) 「ボートよ空を飛ばんかい!」。


最大水深=26.4b、平均水深=14.7b、透明度=25b、水温=30.3度、気温=32度 流れ=ガンガン! ガイド=アポン
ブラックフィンバラクーダ
5/3 シパダン「サウスポイント」

結局、2本だけになってしまいましたがシパダンに潜ることが出来ました。1本目のバラクーダポイントは潜行するなりギンガメアジの大きな群れに歓迎されました。しばらく見とれていたら真後ろにはバラクーダの群れが迫ってきています。流石にシパダン! もの凄い魚影です。
2本目のサウスポイントもサンゴが見事で魚種も豊富でした。シパダン島はかつては宿泊施設があったそうですが、今では閉鎖されていて一部がダイバーの休憩所として利用されていました。

そのほか見られたサカナはホワイトチップシャーク、ブラックチップシャーク、マダラエイ、タコ、大きなナポレオン、カンムリブダイの群れ、ネズミフグなどなど。

最大水深=23.6b、平均水深=12.3b、透明度=25b、水温=29.9度、気温=32度 流れ=少し ガイド=アポン
こんなハタタテダイの群れ、初めて!
体長40pほどのネズミフグ オトヒメエビ
【シパダン】

シパダンへはマタキング島からボートで70〜80分かかります。この時、私たちの他に日本人のご夫妻ダイバーが1組とシュノーケラーが2組(4人)一緒になりました。ボート代は乗り合わせた人数で頭割りになります。
結局、フライトの関係で3本目を潜れなかった私たちは、シュノーケラー組と一緒にシュノーケリングしました。シパダンの海はシュノーケリングでも充分楽しめました。
先にも書きましたが、島にはかつての宿泊施設が残っていますが、入れません。食事用のテーブルと椅子、そしてトイレが利用できます。多分、宿泊施設に残っていたのでしょう、ビリヤード台が野ざらしで置かれていて、スタッフが興じていました。
右の写真がシパダン島の桟橋です。ここで事前申請してあるかチェックされ、確認が取れると専用フラッグが渡されてダイビングが許可され、島への上陸も許されます。
右下の大トカゲは体長1b以上もあって、なかなか迫力でした。ダイバーが残った食事を与えるためか、まるで人間を怖がらず、食べ物をねだるように近寄ってきました。
旅先の島の名前がマタキング島だったので、リードは私の好きなタマキングこと宮田珠己調の文体で書きましたが(似てませんね(^_^;)、ここからは自分に戻ります。
マタキング島のパンフから無断でスキャンした地図なので、解像度が悪くて見づらいですが、マタキング島の位置関係は判って頂けると思います。そうです。拡大地図の左下、シパダン島があります。ここに潜りたくてマタキング島に向かったのが本当の理由です。
シパダン島はかつては宿泊施設があったのですが、今では閉鎖され、しかもその海域に潜るにも制限があって簡単には行けないのです。
なので私たちは取り敢えずマタキング島滞在を選択し、シパダンへのダイビングが出来ることに期待をかけたのです。
タワウ空港に出迎えてくれた車と私たちのキャリーバッグ 実は随分と色んな所に出向いているのですが、マレーシアは初めてでした。クアラルンプールやコタキナバルが立派で綺麗なのは想像できましたが、タワウという聞き慣れない飛行場も綺麗で立派なのには驚きました。タワウからの90分近いドライブ中も、過ぎゆく街並みや道路は、私が知る東南アジアのものとはほど遠いものでした。
物価は日本の1/3程度と記憶して来たのですが、町に出ることが無かったので判然としません。でも、リゾート地でも“高い”と感じることは無かったです。貨幣単位はリンギット(RM)。2009年5月時点で1RMが約28円でした。シンガポールに輸出するほど水が豊富な国ですがマタキング島は本島から水を運んでるそうです。そういえばオリジナルのボトルウォーターも見かけなかったなぁ。
途中で見かけた町中のマーケット
港町センポルーナから、右のスピード・ボートに乗り込んでマタキング島へと向かうのですが、この日の朝に雨が降り、屋根のシートに溜まった雨水がボートのシートに落ちてきてズボン&パンツがビッショビショ。海は凪いでいたので安心していたのに、伏兵がいました。まぁ、これも南の島だから大して気にもならないけど、暴風雨だったら悲惨だろうなぁ(実はその後、連日暴風に見舞われた!)。
右の写真、ボートの真後ろに見えるのがレセプション。その左に見える建物がダイニング。ダイニングの向こう側にはダイビング・センターがあるのだけれど、客室も含め全ての建造物は土足厳禁。スタッフはそのままサンダルで出入りしてたけどね。客に強要する割には従業員(マネジャーも!)ルーズでした。
部屋は広くて使い勝ってはとても良かったです。シャワーのみの部屋もあるようだけど、私たちが利用した部屋のバスタブは大きくて、海を眺めながら入れて気持ちよかった。その代わり、海辺を散策する人からは丸見えだけど。私もダイニングに行くときに女性の入浴姿を図らずも見てしまった。子供だったけど(笑)。アッ! ブラインドがあるので海を眺めながら入浴しなければ大丈夫ですよ。ご安心を。
食事はブッフェスタイル。特別不味くはなかったけど、絶賛するほど美味しくもなかった。ブッフェって何処も同じような内容で同じような味なんですよね。少しはマレーシア料理ってやつを期待してたんだけど、ちょっと残念でした。でもソースは魚料理でも肉料理でも美味しかった。
私たちが利用した海に面した部屋。 ベッドに設えた天幕(蚊帳)は無用。単なるデコレーションでした。 ダイビング・ショップのミニ・カフェ。ダイビング後用にと軽食やコーヒーが用意されていた
砂州はおよそ500bほど。10分もかからずに渡れます。 南北に細長いこの島は、グルッと歩いても1周1時間もかからないような大きさです、たぶん。(歩かなかったノダ(^_^;)。
島内にはクジャクや大トカゲがいると聞いてきたけど、会えませんでした。また、この島ではウミガメの卵を管理していて(右写真)、ウミガメの赤ちゃんにも会いたかったけど、それも残念ながら叶わなかった。
島の北端にはクチールという小さな島が連なっていて(左写真とトップ写真)、干潮の時には歩いて渡れます。島までの砂州を歩いていると、サンゴや貝殻がたくさん落ちていました。ちなみにここは海流が激しいそうで(砂紋が出来てた)、泳いで渡るのは危険です。
島の周辺にウミガメが多いのも肯けます。
というワケでマタキング島へと向かった訳だが、いやはや遠かった。
成田からクアラルンプールまで約7時間。ここで再び飛行機に乗り換え同じマレーシアでも海を隔てたボルネオ島のコタキナバルへ3時間弱を要して到着。これで終わった訳ではない。目的地はまだ遠く、再び飛行機に乗ってボルネオ島東端のタワウという街へと飛ぶ。このタワウでやっと飛行機から解放されるが、ここから車で90分ほど走りセンポルーナという小さな港町へ行き、そこから船に揺られて1時間。やっと目的地であるマタキング島が見えてくるのであった。
朝5時に起きて自宅を出てから実に30時間を要したことになる。
マレーシアってそんなに遠い国だったのか。地球の裏側に行くにもこんなに時間はかからんゾ!
さてさて、やっとの思いで到着した南海の孤島はいかに…。
マタキング島である。
なぜ、この島に行くことにしたのかと問われても答えられない。なぜなら今回もまた、かみさんのコーディネートによるからだ。

この島の事をネットで検索しても、あまりヒットしなかった。それなのに、かみさんはどうやってこの島の存在に気が付いたのか? はなはだ疑問ではあるが、あまり詮索はしないことにしておく。
「“マタキング”という名前に惹かれただけよ」なんて答えが返って来る可能性が高いからだ。もしもシリクィーン島なんて名前の島があったら私がコーディネートしているやもしれん家庭なのだ。
いやいや、そんな島の名前などあまり重要ではない。要はその島が美しいか、海の中は素晴らしいか、ステイは快適か、食事は美味しいのか、酒は豊富か……が重要なのだ。
マタキング島のシンボル・クチール