治安の悪さにビビリ、そして国内線航空機のディレイはまだしも、欠航すら頻繁にあると聞き、ますます不安は増加した。仕事を持つ身ではそうそう帰国予定日を変更されては困るのだ。国内移動を一日早めて首都ポートモレスビーで一泊するという案もあったけど、そもそもそのポートモレスビーの治安が一番危険だというから話にならない。首都観光も出来やしない。結局、万が一国内線の欠航などで予定する帰国便に乗れなくともオーストラリア経由でなんとか帰国できそうだったので、ディレイ&欠航の無いことを祈りつつフルにダイビングを楽しむことにした。

さて出発。成田を夜の9時過ぎに出発する。早々に眠ってポートモレスビー(早朝5時着予定。日本との時差はパプアニューギニアが1時間早い)で目覚めるつもりだった。しかし機に乗り込むと燃料補給のためミクロネシアのポンペイを経由するという。成田空港での給油は高いからか? 結局、途中で起こされ予定より2時間も遅れてポートモレズビー着。更に国内線搭乗カウンターの処理がメチャクチャのろい。やっと搭乗券を受け取った時には既に飛行機の出発時刻。空港内を疾走する。これでは悪い奴らが絡む隙もない。
 
パプアニューギニアと言っても広い。パプアニューギニアのどこに行ったかというと東部のアロタウという地域にあるミルンベイ。ここにタワリリゾートというダイビング施設を持つリゾートホテルがあり、そこに6泊した。
このリゾートにはFumiyo Nozakiさんという、とても明るく陽気なダイビングガイドの日本人スタッフがいて(2018年現在)、ダイビングのガイドは当然ながらリゾート内のことも、帰国時には空港まで同行してくれて何かと世話してくれた。
さて行程。成田からニューギニア航空(Air Niugini)でポートモレスビーまで約7時間(この時はポンペイ経由なので9時間かかった)。ポートモレスビーでビビリながら国内線に乗り換えアロタウまで。こちらの飛行時間は50分ほど。 ちなみにローカル線のトイレは最悪。汚くて紙が無いのは当たり前でカギすら掛からないありさまだった。
アロタウの空港からは車と船で移動となる。車は1時間ほど、船には20分ほど乗る。船に乗るから島に渡るのかと思えばそうではなく、陸路を走るより船の方が早いかららしい。リゾートは半島突端の北側にあるのだけれど、道らしきものは見当たらなかった。そもそもその道も、途中橋が陥落していて、水の流れる川をそのまま横切って行くほどだった。
 
一緒になったグループが途中で、果物を買いたいのでマーケットに寄れとドライバーに指示。こっちは特に寄りたくもなかったのだが、一緒に降りて空港で没収されたライター(機内持ち込みなら本来は大丈夫なのだが没収された)を探す。マーケットはヴァヌアツでも見たような、各々が持ち寄り地べたに置いて売る露天スタイル。奥の方に行くと、ライターも置く雑貨屋のようなお店もあった。現地通貨(PGK=キナ 1PGK≒約35円)を両替していなかったので、US$で売ってくれと交渉したら渋い顔。$1、$2、$3ではどうだ! とドル紙幣をカウンターに並べていくと、$1紙幣を取り1キナ40トエア(100トエア=1キナ)お釣りをくれた。日本円にして70円くらいか。正直な商売に驚いた。嬉しくてレジを打っていた女の子にお釣りをプレゼント。ちなみにライター買ったのは蚊取り線香を焚くのが目的だったのだけど、タワリリゾートは蚊取り線香使用禁止だった。
マーケット周辺には低いながらビルもあるが、そこを過ぎればジャングルの未舗装路。家は見えないのだが人の姿をけっこう見かけた。寝不足からいつしか眠っていた。起こされたら小さな桟橋のある海岸で、ここに迎えの船が来るという。猛禽類と思われる鳥を抱えた少年と出会った。
リゾートはクルーズも出来そうな大型船を一艘、中型船が2艘、そして小さなボートを3艘ほど所有してた。右上写真の桟橋には、沖合まで中型船で来て、桟橋には曳航していた小さなボートで私たちをピックアップした。滞在中ゲストが多かったためか、ダイビングもいつも迎えに来た中型船を使用した(小型ボートでのダイビング・メンバーもいたけど)。
下写真がタワリリゾートのジェティ。ここからスロープと階段を昇ってレセプションにたどり着く。ダイビングのたびに重いカメラ機材を持ってここを上り下りするのがしんどかった。
私たちが滞在中、このジェティ桟橋の下には大量のアジが群れていて、それを捕食しようとカスミアジやロウニンアジ、そしてハタなどの大型魚も集まっていた。そして地元の人々も小さなカヌーで集まって来ていた。小さな一本木をくり抜いたアウトリガーカヌーだ。ここには最初のチェックダイブとナイトダイブで2回潜ったけれど、彼らに釣られてしまわないかと心配だった。
リゾートは各室独立したコテージ風の作りで機材を干せるベランダもあって、シャワーを除けば使い勝手は良かった。
 
リゾートの食事は朝昼晩とすべてブッフェスタイル。味の方はマァマァ。お酒はビールが3種類とワインが数種類、ほかウィスキーやスピリッツもあった。朝食は6時30分から用意される。ダイビングのスタートは8時なのでのんびり食べられるのは嬉しい。
ダイビングは8時にリゾートを出て午前中に2本潜ってリゾートに戻り昼食を摂って3本目に行くパターンと、リゾートを出たら戻らずに船上で昼食を摂るパターンがある。ときに片道1時間ほどの遠出もするからだ。その船上昼食も簡単なブッフェスタイルだった。キッチンもある船だから温める程度の調理は出来る。
ダイビング2日目と3日目ににこの遠出をした。その2日目の日の帰路のこと。使用していた中型船上にあっては邪魔だからと、使用済みのタンクを小型船に積んで曳航していた。その小舟が海流の強いチャネルにさしかったところでナント、転覆! 42本積んでいたというタンクも船長も波高いチャネルに投げ出されてしまった。船長と船、そして全てのタンクを回収するのに大騒ぎとなった。しかし回収が終わるとタンクは45本に増えていた(笑)。地元民のこの船長、数勘定もそうだが泳ぎも苦手なのだとか。
 
リゾート周辺にも素晴らしいダイビングスポットはたくさんあるようなのだが、何しろマクロからワイドまでダイビングをするには最高のエリアだ。ハンマーヘッドやマンタ、そしてジュゴンにも運が良ければ遭遇する。実際、私のグループの一人がジュゴンを見つけて写真に収めていた。イクジットしてからジュゴンを見たと聞き「教えてくれれば良かったのに~」と言ったら、かなりのスピードで泳いでいてアッという間に消え去ってしまったそうな。見たかったなぁ~。また、別の日には帰路の船の上から海面をジャンプするモブラ(小ぶりのマンタ)の姿を見たグループもいた。私はそれも見逃した(泣)。イルカの姿はたびたび見られたけれど。

パプアニューギニアは5月から11月が乾期なのだが、ソロモン湾に近いアロタウ周辺はその逆で雨期となる。4月29日に現地に到着したのだが、5月1日の夜から必ず雨が降った。時には猛烈な豪雨も。昼間のダイビング中にも何度か降られた。そして雨が降るとクラゲも突然に増えるらしい。私もしっかり手首と足首を刺され、帰国後もなかなか治らなかった。雨期にこの地を訪れる人はクラゲ除けと刺された際の薬は必需品です。
 
宿泊二日目の夕刻、ダイニングに出向くと「食事前にダンスがあるからね」と教えられる。それならばと部屋にカメラを取りに戻ろうとすると、その途中で腰蓑だけの女の子やバナナの葉(?)のフンドシ付けた小さな男の子たち(オッサンやおばさんもいたけど)と擦れ違う。すれ違いざまに手を出したらハイタッチしてきた。とても明るい。葉っぱのフンドシは痛くないのだろうか? けっこう激しく踊っていたけど股ズレしたりしないのだろうか? ダンスの方は付け焼き刃的ではあったけど、そのサービス心が嬉しかった。地元の子たちやスタッフの子供たちが扮しているのだそうな。

滞在中、蚊を見かけることも刺されることもなかったし、誰かのブログにはアリが凄いと書かれていたけど、部屋にアリが入ってくることもなかった。しかし、隣のコテージ床下で犬が生まれたらしく、毎夜子犬の鳴き声がうるさく閉口した。
電気は240ボルトの50ヘルツ。コンセントはハの字型のI(アイ)タイプもしくはOタイプ。
あっ書き忘れてたけど換金は空港内で出来る(私は必要なしと思いしなかった)。チップの習慣はない。
ダイビングポイントは下のマップ上(PNGジャパンより無断借用)にあるもの以外にも、ざっと20近くある。このマップに出てるのが人気ポイントのようだ。この海域、周辺を開拓すればもっともっとポイントは増えるだろう。
クラノイドシティはサンゴも綺麗なダイナミックなポイントで、歩くサメ=ミルンベイエポレットシャークや綺麗なボロカサゴに会えた。ワフーポイントではモエギハゼヤやアオモマスクなどのマクロ系から時にバラクーダやハンマーヘッドシャークに遭遇することもあるそうな(こちらには会えなかったけど)。私はディケンズリーフとロワディビーチ(マップ上にはロワーディと記されてる)が特に気に入った。ディケンズリーフは太陽光の光が帯のように差し込むサンゴやシダがもの凄く美しいポイントで、ジュゴンに遭遇したのもこのポイント。ロワディビーチは砂地が広がるマクロポイント。ここで初めてカノコウロコウミウシや久しぶりにタイガーシュリンプに会った。また、ハウスリーフのナイトダイブではこれまたお初のシマクダリボウズギスモドキにも会えた。
滞在日数7日、ときに激しい流れのポイントもあったけれど、好天続きのご機嫌なダイビング三昧の毎日だった。
 
さて帰国前日。ダイビングは午前中に2本。こちらでは搭乗18時間前までダイビングの許可が出る。ちなみにダイビングスタイルはオーストラリア方式。ダイビング1本ごとにエアーの開始残圧と終了時残圧、そしてナイトロックス使用したならその酸素濃度と最大水深を記帳させられる。また、ナイトロックス料金はタンクの本数単位では無くて1日単位。1本しか潜らなくともセルフでも追加ダイブして4本潜っても料金は一緒。確か1日1,000円ちょっとの追加だった。もしも深くまで潜るようなら通常エアーのタンクも用意してくれるけど、それでも値段は一緒ということだ。
午前中のダイビングを終えて機材を干し、昼食を食べてからスカルケイブ(頭蓋骨洞くつ)とレインフォール(滝)ツアーに参加した。蚊に刺されるのが嫌で長ズボンにスニーカーで出向いたら、足元がぬかるむ所もあり川も渡るからサンダルが良いと奨められ部屋に戻って短パン&サンダルに履き替える。しかし濡れたサンダルは足が滑って洞くつの出入りはちょっと大変だった。勾配も急でトゲトゲした火山岩質の岩場なのだ。もしも行くならマリンシューズがベスト。
マラリアになっては困るから蚊除けスプレーして行ったけど、蚊の猛攻を受けることは無く、同行者はアリに噛まれてた。そして不思議だったのは洞くつから出てきたら、いつの間にか何人かが土産物を広げて待っていた。周囲に人家はもちろん人気も無かったのに、、どこから出てきたんだろう? それまでのダイビングでもダイビングボートの周りを小舟でお土産を売りに来ていた。しかも彼らは物を見せるだけでひと言も言葉を発しないのだ。
雨が降ると現れるという滝は、数軒の地元民の家の前を抜けていくのだけれど、その際に垣間見ることが出来た地元民の生活様式も興味深かった。このスカルケイブ・ツアーは1人165キナだけど、人数が増えるとディスカウントされる。また、パプアニューギニアで有名な鳥・極楽鳥を見に行くツアーや釣りなどのツアーもあった。
レインフォールから帰る途中で変わった鳴き声が聞こえたのでガイド氏に「何の鳴き声か?」と尋ねたら「パラダイスバード(極楽鳥)のメスだ」と教えてくれた。しかしメスはさほど美しくはないらしい。もしも再訪することがあったなら、次回は望遠レンズ持参でバード・ツアーにも行ってみたい。
 
 
4月29日  ハウスリーフ EN:16:15 EX:17:17 潜水時間:62分 最大水深:18.1m 平均水深:9.1m 透視度:10m 水温:29.4℃ 気温:30℃
4月30日  コブスクリフ EN:9:20 EX:10:22 潜水時間:62分 最大水深:23.2m 平均水深:13.2m 透視度:20m 水温:29.2℃ 気温:31℃ 
クラノイドシティ EN:11:43 EX:12:48 潜水時間:65分 最大水深:23.1m 平均水深:11.43m 透視度:25m 水温:28.8℃ 気温:31℃ 
クラノイドシティ EN:14:14 EX:15:18 潜水時間:64分 最大水深:24.0m 平均水深:12.8m 透視度:25m 水温:29.1℃ 気温:31℃  
5月1日  バラクーダポイント EN:9:18 EX:10:07 潜水時間:49分 最大水深:22.4m 平均水深:13.2m 透視度:20m 水温:29.3℃ 気温:30℃ 流れ強し!   
コーラルガーデン EN:11:27 EX:12:22 潜水時間:55分 最大水深:21.6m 平均水深:10.8m 透視度:25m 水温:30.3℃ 気温:30℃   
ワフーポイント EN:14:44 EX:15:44 潜水時間:60分 最大水深:16.5m 平均水深:10.9m 透視度:25m 水温:29.3℃ 気温:30℃  
5月2日    ディコンズリーフ EN:9:16 EX:10:08 潜水時間:52分 最大水深:26.8m 平均水深:13.1m 透視度:30m 水温:30.2℃ 気温:30℃  
ディコンズリーフ EN:11:29 EX:12:45 潜水時間:76分 最大水深:21.3m 平均水深:10.5m 透視度:25m 水温:29.2℃ 気温:30℃  
ラワディービーチ EN:14:09 EX:15:14 潜水時間:69分 最大水深:23.7m 平均水深:10.9m 透視度:15m 水温:29.6℃ 気温:30℃  
ハウスリーフ EN:17:35 EX:19:04 潜水時間:89分 最大水深:25.0m 平均水深:8.0m 水温:29.3℃ 気温:28℃ ロスト!    
5月3日   シェリーズリーフ EN:9:35 EX:10:36 潜水時間:61分 最大水深:24.2m 平均水深:13.5m 透視度:30m 水温:29.0℃ 気温:31℃  
タニアスリーフ EN:11:40 EX:12:43 潜水時間:63分 最大水深:22.5m 平均水深:12.7m 透視度:25m 水温:28.9℃ 気温:31℃ 
タニアスリーフ EN:14:11 EX:13:09 潜水時間:58分 最大水深:21.7m 平均水深:13.8m 透視度:20m 水温:29℃ 気温:31℃  
5月3日   ラワディービーチ EN:8:46 EX:10:22 潜水時間:94分 最大水深:19.3m 平均水深:6.4m 透視度:15m 水温:29.4℃ 気温:31℃ 
ディコンズリーフ EN:11:29 EX:12:35 潜水時間:66分 最大水深:23.1m 平均水深:13.3m 透視度:25m 水温:29.3℃ 気温:31℃ 
【後記】
もしもあったらとっても困った事になっただろうけど、運が良かったのか、
はたまた事前の情報が誇張されていたのか、襲われることも無く、
パプアニューギニアはそれほど危険な国だという印象は持てなかった。
まぁ、そんな気の緩みが良くないのかもしれないけど、
途中で立ち寄ったマーケットにしても、人々はみな陽気だった。
そもそも多部族の集合体のような国だから、一部の部族や、
場所によっては危険なところもあるのだろう。
しかしながら、この国の手付かずの自然は賞賛にあたいする。
海中はもちろん、色んな種類の鳥の鳴き声を聴けたことでもそれがうかがえる。
チャンスがあれば、別のエリアにも行ってみたいけど、きっとマイバディは賛同しないだろなぁ。