ダイビングのライセンスを取得したばかりの頃、フト目にした写真に釘付けになってしまった。
その写真は直立姿勢で天(海面)を仰いでいる女性ダイバーにスポット・ライトのような太陽光が降り注いでいるもので、彼女が吐いたエアーにも光線があたって、泡の一粒一粒がキラキラと光っていた。
構図といいその女性ダイバーのプロポーションといい、それは見事な写真だった。
撮影場所はどこかと、写真の解説文を読んだら、それがロタ島にあるロタ・ホールというポイントだと判った。

以来、いつかは行ってみたい…と思い続けていた。
昨年そのチャンスはあったのだけれど、太陽が真上から差し込まない時期なので止めた方が良いと言われ、延期になってしまった。
そして今年(2007年9月)、ようやっと渡航が実現した。
かつてはサイパン、グアムからの便もコンチネンタル航空も飛んでいて来島者も多く、更には2001年の野口五郎&三井ゆりの結婚式で脚光を浴び、観光客も多かったらしい。それがコンチネンタル航空のロタ便の撤退やJALやコンチネンタル航空のサイパン直行便廃止ですっかり人が来なくなったそうだ。

島の人々には申し訳ないのだけれど、正直言って私はグアムのような人で溢れかえった場所が嫌いなので、私にとっては好都合だった。実際、現地で会った日本人観光客はたったの6人(ダイバーは4人)。欧米人・欧州人の姿すら見かけなかった。

(左写真はクロス・ポイントよりウェディング・ケーキ・マウンテンを望む)
しかし、それにしてもロタ島へ行くのはやっぱり不便だ。
ロタ島にはサイパンかグアムから渡るのだけれど、たった一つの渡航便フリーダム・エアーの便は1日に朝と夕の2本。テニアンへはまるで空のタクシーのごとく乗客がいれば小型セスナが飛んでいくのにロタへは定期便のみ。せめて日本からサイパンへの到着便時刻に合わせてくれれば良いのに、6時間近くも空港で待たされた。
左写真はそのテニアン行きの飛行機。4人乗りらしい。テニアンまでは10分ほどのフライト。ハリソン・フォードが降りてきても不思議無いような飛行機だ(映画「6デイズ7ナイツ」)。
右がロタ島行き機。こちらは少し大きく、20人ほど乗れる。この便はグアム・ロタ・サイパン間を行き来している。テニアン便は旅行客中心だけど、ロタ便は島民中心にフライトが組まれているような感じだった。左下写真はロタ便の機内
たまたまこの日、テニアン行き乗客が多く、小さな飛行機でのピストン輸送では追いつかないからと、私たちが乗るはずだったロタ行き飛行機が、急きょテニアン行きになってしまった。テニアン往復後の出発となり、ロタ島到着が30分遅れた。予定では機上で夕景が眺められると楽しみにしていたのだけれど、陽も沈んでしまって夕景どころか上空からロタ島すら見ることが出来なかった。 野口五郎と三井ゆりの記念写真 宿泊先はロタ・ホテル。ロビーやレストランに野口五郎と三井ゆりの写真がいっぱい張ってあったけど(左写真)、彼らが結婚式を挙げたときに宿泊したホテルなのかな?
ちなみに、このロタ・ホテル。レセプションで出迎えてくれたのはナント! 日本人。名前は高橋さんだったか高杉さんだったか……、忘れてしまった(;^_^A ゴメンナサイ m(_ _)m
島ではキャベツやスイカなどが採れるそうだ。そのため大抵の料理にキャベツがタップリ使われていた。豚やニワトリは放し飼いだそうだ。
野生化したのかロタのニワトリは50bほど飛ぶことが出来るそうだ。島の豚やニワトリはとても美味しいらしいけれど、滅多に食す事が出来ないそうだ。島民が冠婚葬祭で食べるという。南の島ではこの様な風習を持つ島が多い。
ロタの食事は美味しい。初日はホテル内のレストランで摂ったけど翌日はトンガ・トンガ・カフェへ出向いた(左写真)。オープン・カフェのオシャレなお店(蚊が少々煩わしい)。「今日はサワラの新鮮なのが入ったからお勧め」と、薦められるままに注文したら本当に美味しかった。他にも肉料理を頼んだけれど、それも美味だった。カクテルも飲めて、どちらと言えばカップルにお勧めのお店です。
3日目の晩は東京苑へ。右上写真がそれです。何とも凄い色彩感覚!
この日、当初は名物だというロブスターを食べようと、ダイビング・ショップのめぐみさんに「ロブスターを食べたいのだけれどお勧めの店を教えて」と言ったら、ロブスターよりヤシガニの方が名物だと言われ、このお店を薦められた。中に入って更にビックリ。丼ものからラーメンまである。場末の居酒屋兼食堂…ってイメージだ。
ヤシガニ料理 学生時代に竹富島でヤシガニを捕まえた。買い取ってくれた主から、このヤシガニは美味しいけれどソテツの実を食べた奴は食せない。ソテツの実に毒があるから…、とその時に教えてもらった。そんな事を思い出しながら、こわごわ一口食べたら、最高に美味かった。味が濃厚なのだ。カニ味噌の部分に当たる胴回りは少々気味が悪かったけど、カニ味噌より淡白で、これも美味しかった。
最近ではロタ島でも、このヤシガニがなかなか捕り辛くなっているそうで、値段も高騰しているとか。この東京苑で調理してくれたおばさんは、韓国か人中国人かと思ってたらフィリピン人だった。てっきりオーナーだと思ったから、なんで東京苑なんて名前を付けたの? と聞いたらオーナーは日本人で今はサイパンにいるという。
そうだそうだ、これも書いておかなくちゃ。このお店でトゥバと名のヤシ酒も飲んだ。ほんのりと甘酸っぱくておいしかった。女性にお勧めのお酒です。

これらのレストランは、殆ど全部と言って良いと思うけど島の西側に位置するソンソン村にある。宿泊したロタ・ホテルは島の北側中央に近いテテト・ビーチそばにある。ここからソンソン村までは車で10分ほど。
ほとんどのレストランが送迎サービスをしてくれるので、それを利用しましょう。トンガ・トンガ・カフェは送迎代を取られた。しかも一人$5!。送迎1回に付き$5なら理解できるんだけどなぁ(-_-)。
(右の青い鳥はナンヨウショウビン)
ロタでよく目にするキング・フィッシャー(ナンヨウショウビン)
【ちょこっと観光も】


左=トンガ洞窟内にある、旧・日本軍の医療施設だった野戦病院跡。ロタは戦地とならなかったため、ここには戦闘による怪我人は運ばれてこなかったそうだ。で、ここはトイレ。


右=ウェディング・ケーキ・マウンテンとも呼ばれるハルノン岬。島の最西端にあたる。
ウェディング・ケーキ・マウンテン

左=ハニーガーデン。日本人は教会での挙式が出来ないそうだけど、教会内でするよりこちらの方が素敵だ。野口五郎と三井ゆりはここで式を挙げた。背後にウェディング・ケーキ・マウンテンが見える。


右=クロス・ポイントと呼ばれる展望台からの眺望。下に見えるのがソンソン村の一部。向こうにウェディング・ケーキ・マウンテンが。

ソンソン村の街並み


左=砂糖工場跡の脇に鎮座している赤サビた機関車。かつてはこれでサトウキビや出来上がった砂糖を運んでいたのだろう。


右=砂糖工場跡。ソンソン村を抜けてハルノン岬に向かう途中の西港のそばにある。
砂糖工場跡
千本ヤシの森

左=千本ヤシ。台風で何本も倒れて今では千本は無さそう。



右=旧・日本軍の大砲。アメリカ軍の襲撃を受けることが無かったそうだから、この大砲も火を噴くことも無く、60年の歳月を過ごしてきたのだろうか。
旧・日本軍の大砲
テテトビーチ

左=テテトビーチ。ふだんはほとんど人影を見ることもない静かで美しい海岸。日曜日は島民の憩いの場所となる。



右=スイミング・ホール。テテトビーチの東、車で5分ほどのところにある。
スイミング・ホール
ロタの夕景。クリックすると夕景百景ページに飛びます


左=ロタホテル前のビーチから見られた夕焼け。(夕景百景ページリンクしてます)



右=参考マップです


【ダイビング・ログ】

この日、3連休の日曜日にもかかわらず、ショップのゲストはわたし一人。
「折角だからゲストが多いときには行けないポイントに行きましょう」と、タートル・ポイントへ連れて行ってくれると言う。
「出来ればロタ・ホールに行きたいんですけど……」と言うと、最終ダイブで行きましょう、その方が潮が満ちてきているから良いと思う…とのこと。
ホールは波が入ると泡が立って光の通りが悪くなるのだそうだ。当然、干潮時は光の帯も短い。
ロタ・ホールに行くと、そこには誰も来ていなかった。まさにロタ・ホールを独り占め! ホールに入った途端、光の柱が目に飛び込んできました。これが見たかったのです。惜しむらくは、美しいモデルさんがいなかったこと(;^_^A
左の写真、モデルはシポーズという名のフィリピン人ガイドさん、♂です。マウスのポイントを当てると現れるのはワタシ。やっぱり美しいモデルさんの方が良いですね。しかし、それでも美しかったロタ・ホールです。

ホールは海面に浮上できます。浮上して上を見たら青空が見えました。(↓写真)

【9月22日】

1本目=コーラルガーデン

最大水深:23.0m 平均水深:12.4m 水温:30.4℃ 気温:30℃ 透明度:40m

【見られたサカナ】
ホソカマス(写真)、マダラタルミ、マダラタルミ(yg)、オドリハゼオトヒメエビクロハコフグほか


※サンゴはほとんど無い。透明度の良い岩礁地帯のポイント。
ホソカマスの群れ、美味しそう
2本目=ハーノン・ドロップオフ

最大水深:29.9m 平均水深:15.8m 水温:30.2℃ 気温:30℃ 透明度:30m

【見られたサカナ】
カスミアジ、ギンガメアジ、ホワイトチップ・シャーク、オレンジフィン・アネモネフィッシュ、スダレチョウチョウウオトゲチョウチョウウオほか


※ドリフトで大物遭遇率の高いポイント。しかし、この日は流れが逆方向で、結局リーフわきを移動しながらのダイビングに。
チョウチョウウオの乱舞
3本目=ジェリーズ・リーフ

最大水深:17.4m 平均水深:12.4m 水温:30.7℃ 気温:30℃ 透明度:30m

【見られたサカナ】
オニダルマオコゼ、レッドバンデッドクラウンゴビー、シブチテッポウエビ、チンアナゴノコギリダイほか


※サンゴ礁帯と真っ白な砂地が連なったポイント。光が入って美しいことこの上ない。チンアナゴにも1mほどまで寄れた。
ロタ・ブルーの海が広がる
【9月23日】

1本目=松運丸

最大水深:31.1m 平均水深:18.7m 水温:30.7℃ 気温:31℃ 透明度:40m

【見られたサカナ】
ツバメウオ、ゴマフエダイ、ロウニンアジほか


※ご覧通りの沈船ポイント。この船は爆撃ではなく、敗戦時に米軍に取られることを恐れて旧・日本軍が沈めたのそうだ。
2本目=タートル・ポイント

最大水深:21.7m 平均水深:12.9m 水温:30.5℃ 気温:31℃ 透明度:40m

【見られたサカナ】
フウライチョウチョウウオナンヨウハギナポレオンホワイトチップシャーク、セジロビラクマノミ、クマノミほか


※かつてはウミガメがいっぱいいたそうだが、今はなかなか出会えない。この時、2匹ほど見つけたとガイドは言っていたが私には見えなかった。
ナンヨウハギ
3本目=センハノン・ケーブ(ロタ・ホール)

最大水深:20.4m 平均水深:11.6m 水温:30.5℃ 気温:31℃ 透明度:25m

【見られたサカナ】
トガリエビスアカマツカサ、ギンガメアジ、イロカエルアンコウほか


※ロタ島の看板ポイント。しかし、海底を散策すれば、結構楽しいサカナに会える。
イロカエルアンコウ


【後記】
数年前まではサイパンへの直行便がいくつかあって、コンチネンタル航空の金曜の最終便でサイパン入りし、土日に潜って月曜の早朝便で帰国しそのまま会社に直行…なんて芸当も出来たのに、今ではサイパンにはどうやっても午後着しか出来ない。結果、渡航日当日のダイビングは難しい。どうせ往復共に丸1日を潰されるなら、今後わたしはロタやテニアンに渡ってノンビリするだろう。

個人的にはサイパンやグアムのような賑わう場所が好きでないのだ。
しかし今回、久しぶりにサイパンに寄って、ガラパン地区などもブラブラしたけれど、街の変わりように驚いた。とても綺麗になっていた。
少しでも多くの観光客を呼ぶためだとは思うけれど、街の外観は綺麗になっても、肝心の店の方は殆どそのままだった。