テニアン島へはフェリーでも渡れますが(約45分)、行きは飛行機で渡ることにしました。飛行機ならわずか10分です。上手くすれば到着したその日に潜れるかもしれません。
その飛行機は6人乗りの超小型飛行機。もしかしたらこのくらいの大きさのラジコン飛行機だってあるんじゃないか、というほどの小ささです。飛んではくれるでしょうが、とっても不安です。
ハリソン・フォードの「6デイズ&7ナイツ」を思い出します。無人島に不時着だけは勘弁して欲しいと祈りつつ、狭い座席に身を沈めました。
まるで軽自動車のようなエンジン音と共に離陸開始。車輪を伝わってくる振動もお尻にダイレクトに響きます。
しかし、アッ、飛んだ! と思ったらアッという間にテニアン島が見えてきて着陸となりました。。
左は日本に原子爆弾を投下したB-29が飛び立ったエイブル滑走路です。テニアン島の最北部に、島を横切るように横たわっています。4本あるそうですが、うっそうとした木々に隠れて3本しか見えません。このうちの1本は、いまだにアメリカ軍が使用しているそうです。流石にプロペラ機しか着陸は出来ないでしょうが、滞在中何度も頭上をF-35戦闘機が爆音を轟かせて横切って行きました。 テニアン島の飛行場は島の中心部にあります。グルッと旋回して着陸態勢に入ったと思ったら直ぐに着陸。なんだか遊園地の遊覧飛行機に乗っていたようです。
飛行場には入国審査ゲートもありましたが、誰もいません。帰路にフェリーを利用しましたが、フェリー乗船の際にはパスポート提示を求められましたが、この不徹底さがいかにも南の島です。
サイパン発朝一番のフライト(7:45発)に間に合いそうなので、到着後直ぐに潜りに行けるようダイビング・ショップにお願いをしていました。ところが、テニアン空港を出ると私たちの他には空港で働いているらしきおばちゃんしかいません。
はてさてどうしたものかと思っていたら、おばちゃんが話しかけてきました。ホテルからの迎えが来ていないんだ、と言うと直ぐに電話してくれました。
しばらく空港の外で待っていると、一直線の道路を猛スピードで走ってくる車がありました。そう、私たちが滞在するホテル「ダイナスティ」のスタッフです。
このダイナスティ・ホテルはカジノがあることで知っていましたが、エントランスを入るなり、そのバカみたいなゴージャスさにビックリ! 右写真はロビーです。このロビーだけで5億円かかっているそうです。左の奥にカジノがあります。
かみさんは「こんなゴージャスなの初めて!」と驚いていましたが、ラスベガスのホテルに比べれば、それほど豪華とは感じませんでした。それにしてもこの島には不釣り合いなホテルです。
この島の事を先にもう少し書き残しておきます。この島は伊豆大島程度の大きさで島民は約2000人います。その内、日本人は14人だそうです(2008年9月時点)。
中心地は島の南側にあって、フェリーが発着する港や村があります。ほとんどの島民がこの周辺で生活していました。
レストランも何店かありますが、レストランというよりは定食屋もしくは居酒屋、といった感じです。フレミング・ホテルのレストラン、そして日本人が経営するガーデン・レストランを利用しましたが、味はまぁまぁ、値段もリースナブルでした。
ダイナスティ・ホテルの中ではブッフェとカジノのダイニングを利用しましたが、ブッフェはお薦めできません。カジノの方はマァマァの味でした。
島内観光にも出向きました。かつて日本統治時代は劇場やお店があって賑わっていたという北部エリアは、今は鬱蒼としたジャングルです。日の出神社の鳥居だけがぽつねんと立っていました。
この日の出神社の先にブロー・ホール(潮吹き穴)、日本海軍司令部後、エイブル滑走路、原爆格納庫などがあります。
右がエイブル滑走路です。旧・日本軍が造ったものですが、全部で4本の滑走路があったそうですが、今では木々に囲まれてしまい1本だけが今でも米軍の練習用滑走路として使用されています。つまり立派な軍事施設なのですが、誰でも入れます。
ちなみにこの滑走路、全長は2.600bあるそうです。
この滑走路の西端わきに原子爆弾、リトルボーイとファットマンの格納庫もあります。
無差別大量殺人を行ったB-29、エノラゲイとボックスカーが、ここから広島と長崎に向かって飛び立ったのかと思うと、何ともやるせない複雑な気分になりました。
タガ遺跡にも行きました。くり抜かれたような半球状の大きなや、どうやって積み上げたのか不思議な石柱のようなものがあって、今でも製造方法やその目的は不明だそうです。まるでそのタガ遺跡が守っているかのように、そのタガ遺跡の後方に右写真のような光景が見られました。倉庫のような小さな建物は多分、トーチカかと思われます。 その右に転がっているのは、グラマンのエンジンとプロペラです。日本兵の戦死者数に比べれば数は少ないでしょうが、アメリカ兵も多く戦死しているのです。
エイブル滑走路の東側海岸線にブロー・ホール(潮吹き穴)があります。干潮で波が弱いときは潮を吹かないそうです。この日は台風15号が接近していてうねりが入り、見事な潮吹きを見せてくれました。
島は南北に1本の真っ直ぐな道路(ブロードウェイ)が走り、あとは数本の横道と海岸線の道しかありません。グルッと回っても車なら1時間ほどです。信号機が一つもない島ですが、ガタガタ道路&突然のスコール等を考えるとレンタ・バイクよりレンタ・カーの方が良いかもしれません。私たちは一人$38の島内観光でしたが、色んな説明が聞けて良かったです。
【豆情報・1】
テニアン島へのセスナ機は、フリーダムエアーという航空会社が運航させてます。サイパン空港を背にして右側に手続きカウンターはあります。手荷物は一人20sまで。超過分は1sにつき$0.5を取られます。大きな荷物は20s以内にし、重量物は手提げで持ち込めば大丈夫かもしれませんが、人間の体重もチェックされますから、確約はできません。
【豆情報・2】
テニアン島へフェリーは片道$20ですが、ダイナスティ・ホテル滞在者は無料チケットが貰えます。

【豆情報・3】
ダイナスティ・ホテル内にコンビニはありますが、フレミング・ホテルに隣接したコンビニの方が値段は安いし品数も豊富でした。。

【ダイビング】
★9月20日(土曜) ウラシマ
気温:32度 水温:30.9度 透明度:30m 潜行開始:9時27分 浮上時刻:10時10分 潜水時間:43分 平均水深:14.6m 最大水深:18.4m 快晴
観られたサカナ:カスミアジ、トゲチョウチョウウオ、ヨスジフエダイ、キツネアマダイ、オレンジフィンクマノミ、他
★9月20日(土曜) サス
気温:33度 水温:30.8度 透明度:20m 潜行開始:10時33分 浮上時刻:11時21分 潜水時間:48分 平均水深:7.3m 最大水深:9.5m 快晴
観られたサカナ:ダスキーアネモネ、イトマンクロユリハゼ、キツネフエダイ、ツユベラ、クロユリハゼ、マダラタルミ(yg)、他
★9月21日(日曜) レッドウォール
気温:28度 水温:30.8度 透明度:20m 潜行開始:8時30分 浮上時刻:9時05分 潜水時間:35分 平均水深:18.1m 最大水深:26.2m 曇り時々雨
観られたサカナ:アオウミガメ、アカヒメジ、ハナゴイ、ホワイトチップ・シャーク、アオチビキ、ドクウツボ、他
★9月21日(日曜)フィッシャーマン
気温:28度 水温:30.9度  透明度:25m 潜行開始:10時00分 浮上時刻:10時42分 潜水時間:42分 平均水深:14.8m 最大水深:23.3m 曇り時々雨
観られたサカナ:カスミチョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオ、ルリスズメダイ、ハナビラウツボ、バラフエダイ、他
★9月21日(日曜)  クエスト
気温:28度 水温:30.8度  透明度:18m 潜行開始:13時21分 浮上時刻:14時01分 潜水時間:40分 平均水深:16.9m 最大水深:22.9m 雨
観られたサカナ:バラフエダイ、アカヒメジ、ヨスジフエダイ、キイロハギ、他
★9月22日(月曜) フレミング
気温:31度 水温:30.7度  透明度:30m 潜行開始:8時38分 浮上時刻:9時21分 潜水時間:43分 平均水深:15.6m 最大水深:31.3m 快晴
観られたサカナ:アオウミガメ、ナンヨウハギ、フタスジスズメ、イソギンチャクモエビ、アカエイ、ハナゴイ、モンツキカエルウオ、他
★9月22日(月曜) グロット
気温:31度 水温:30.7度  透明度:25m 潜行開始:10時05分 浮上時刻:10時47分 潜水時間:42分 平均水深:12.5m 最大水深:25.2m 快晴
観られたサカナ:ハタタテハゼ、メガネゴンベ、アカマツカサ、オニハタタテダイ、ハナミノカサゴ、オニオコゼ、他
★9月22日(月曜) ツーコーラル
気温:31度 水温:31.0度  透明度:30m 潜行開始:13時25分 浮上時刻:14時05分 潜水時間:40分 平均水深:14.1m 最大水深:20.5m 快晴
観られたサカナ:スダレチョウチョウウオ、ナンヨウハギ、クロモンガラ、イソモンガラ、アカゴンベ、アカホシサンゴカニ、他
【ダイビングについて】

リードでも書いたように、テニアンで滞在し潜ったのはサイパンの町の雰囲気があまり好きでない事と、テニアン南部のポイントにも潜ってみたかったからだけれど、結論から言えばあまり意味はなかったかもしれなません。
なぜかというと、当初は安いフレミングに滞在する予定だったのだけれど、パッケージ・ツアーで申し込んだためにダイナスティ・ホテルに泊まる事になったのです。ダイビングを目的にするなら、こんな豪華なホテルは必要ありません。第一、カジノにも興味が無いのだし。
それとテニアンに滞在しても、風の向きによってダイビング・ポイントが限られてしまうため、サイパン・ステイでテニアンに向かえない…なんて事は無いにしても地の利を得るほどではありませんでした。
雨に祟られた日もあったけれど、それでも透明度は抜群に良いし、ポイントへの移動もどんなに遠くても30分以内と好条件であることは間違いありません。でもアフター・ダイブもそれなりに楽しみたいのだったら、やっぱりサイパン滞在の方が無難なのかもしれません。
【後記】

南の島に向かうと、特にミクロネシア諸島方面の島々では、必ず戦争の爪痕を目にします。ヤップでもチュークでもコスラエでもポンペイでも、さらにその先のマーシャル諸島でもありました。
そのたびに、何とも居たたまれない気持ちになるのですが、そのような痕跡は、大切に残した方が良いと思います。忘れないために。

私はもちろん戦争体験者ではありませんが、父や母から聞いた話は、これらの戦禍の跡を見ることで実感として受け止めることが出来ます。テニアンに向かう2週間前に広島を訪れていただけに、エイブル滑走路の上に立ったときは、何とも言えない感情が沸き上がりました。

しかし、どの島でも悲惨な歴史を残しているのに島民たちはみな陽気で気さくです。彼らもまた、私たちと同じように戦争を知らない人々だからでしょうか? それだけでは無いような気もするのですが。
                       【2008年10月・記】


テニアンに滞在すればまだ潜ったことのない南部のポイント、特に滅多に潜れないと言われるタツミ・リーフにも行けるかもしれません。
それとサイパンの、あの独特な賑やかさ、特にガラパン地区の喧噪が、趣味では無いことも理由の一つでした。
そんな訳でテニアン島に滞在することにしたのですが、泊まったホテル「ダイナスティ・ホテル」のゴージャスぶりには驚かされました。このゴージャスぶりも、ダイビングが目的の私には無用のものでしたが。
テニアン・ステイでテニアン島に潜ってきました。
テニアン周辺のダイビングは、過去にサイパン・ステイで遠征して何度か潜ったことはありましたが、サイパンからテニアンへ向かうには潮の流れが激しいサイパン海峡を渡らねばなりません。
そのためにテニアンへ行くことが出来る日は、海峡が安定しているときだけで、必ず行けるとは限らないのです。
またサイパンからテニアンへは1時間ほどかかるので、ポイントもテニアン北部に限られてしまいます。