夏休みも終わって秋の気配が忍び寄ってきた頃、「正月、モルジブ押さえてあるけど行けるよね?」とカミさん。
半年ほど前の3月に北マーレのマクヌドゥに行ったばかりだというのに、またモルジブ!? 冗談かと思いました。モルジブがよほど気に入ったらしく、マクヌドゥから戻った翌月に予約したのだそうです。こちらの仕事の都合などお構いなしです。
ところが、昨年(2007年)の4月に予約したというのに、帰りの航空券が取れずキャンセル待ちで、結局モルジブ行きが最終確定したのは12月に入ってからでした。
初めて行ったモルジブは、確かに美しくダイビングもしっかり堪能出来たけど、それにしても「何でまた?」と聞いたら、今度は南アリ環礁だからという返事。
アリ環礁はモルジブでもダイビングが盛んで、しかも環礁南部は大物との遭遇率でも有名です。「もしかしたらジンベエに逢えるかもしれない…」などと妄想も膨らみ、意識は既にモルジブです。確かに前回のマクヌドゥの帰路、「今度はアリ環礁かバー環礁、ファーフ環礁に行ってみたいなぁ」とは言った記憶があるのですが、まんまとカミさんの策略にはまってしまったようです。

シンガポール航空はモルジブの首都・マーレに通常、現地時間で(日本とは時差4時間)夜の10時頃に到着します。前回のマクヌドゥには到着日に高速艇で向かったけれど、今回のヴァカルファリは水上タクシーと呼ばれる水上飛行機の利用になります。夜のフライトは無いようで、到着日はマーレで1泊。飛行場があるフルレ島から、目の前に見える首都・マーレにドーニ(乗り合いの船)で渡って到着日はナサンドラ・パレス・ホテルに宿泊しました。トランジット専用のようなホテルです。このホテル、港の真ん前にあって深夜でも車のクラクションがうるさくて、なかなか寝つかれませんでした。
しかも出入り口に一番近い部屋を割り当てられたものだから、早朝(なんと4時!)から人の出入りする声やキャスターのガラガラという音で起こされて…。加えてアルコール類は一切ナシ。モルジブはアルコール禁止の国だけど、リゾート・ホテルでは大抵飲めます。このホテルはリゾートでは無い、ってことですね。

水上飛行機に初めて乗ったけれど、意外と快適でした。離着陸の際に揺れるかな…と思いましたが安定していました。海面が凪いでいたからで、波があればそれなりに揺れるでしょうね。
搭乗まで1時間ほど待たされ、離陸すれば目的地の南アリまでは約25分。飛行方向をチェックして右側の窓の席を確保しようと思ってたけど、搭乗したら全て取られていました。
水上飛行機なのだから、直接島の桟橋あたりに着けてくれるのかと思っていたら、ポンツーン(イカダ)に横付けされて各島のドーニ(船)が迎えにきました。私たちが宿泊するヴァカルファリはこのポンツーンからドーニで10分ほどで、右写真のジェティ(桟橋)に到着しました。
ヴァカルファリにはジェティが二つあって、このジェティはヴァカルの裏手に当たります。
ダイビング・ショップではAジェティ、Bジェティと言い分けていました。この裏手のジェティ=Bジェティは島の西側にあります。私たちが入ったコテージは、このジェティの左二つ目、131号室。夕陽を眺めるには最高の部屋でした。でも残念ながら連日雲に覆われ“最高!”といえるサンセットは拝めませんでした。滞在中は連日快晴、雲ひとつ無い晴天が続き天気には見事に恵まれたのですが、不思議なことに陽の出も夕陽も、一度も海に沈む光景には遭遇出来ませんでした。まるでこの島の上だけが晴れているような日々だったのです。
←到着したBジェティからの夕景です。太陽は雲には隠れましたが、それでもやっぱり綺麗でした
こちらがAジェティ。ダイビングはどちらのジェティからエントリーしてもOK→

良いことか残念なことかわからないけど、今年(2008年)このヴァカルファリは全面改装されるそうです。なので施設の紹介をしても意味が無いような気もするのですが、昔のヴァカルの面影を残すのも良いかと、少しだけ施設の画像を残しておこうかと思います。左がコテージです。入り口は道路の反対側(つまり海側)で、砂を落とすシャワーが付いています。室内は広くて天井も高く、快適な空間でした。コンポもあって、CDやカセットを聴くことも出来ます。右はバスルームです。部屋の外に設けてあるので湿気が部屋に入らないけど、入浴中に蚊に刺されてしまいました。
左はサンセット・バーです。Bジェティの西側にあって、夕方の6時からオープン。陽が沈んでしまうと閉店です。ちなみにここヴァカルもリゾート・タイムを採用していて、マーレより1時間遅い生活時間。だから私たちが滞在した1月でも7時頃が日没でした。
夕方、陽が沈む頃になると右写真のように人が集まってきます。私たちは直接太陽の光を浴びたくなかったので、写真のように水辺の席は必要なかったけれど、椅子の数が少なくてすぐに満席になっていました。この後、メインのバーでは7時からハッピー・アワーとなります。
左がメイン・バーです。ハッピー・アワーではドリンク類がディスカウントされるのでは無く、チップスなどのおつまみがサービスされます。ロケーション的にはサンセット・バーの方が良いように思えます。
右がダイニングです。他のモルジブの島々同様、ここでも初日に着いた席が最後まで自分達の席になります。給仕さんも一緒です。食事は週1回のスペシャル・ディナーを除きブッフェ・スタイルでした。滞在途中、隣りの席に着いた家族の香水がきつくて、私たちは滞在半ばで席を変えてもらいました。それでも給仕さんは変わりませんでした。
私たちに付いた給仕さんはイブラヒムという、まるで真っ黒に日焼けした三遊亭小遊三のような顔。言葉少なでしたが私たちの好み(例えばコーヒーの飲み方など)をすぐに覚えてくれました。
左がダイビング・ショップです。綺麗で機材洗い場も広く、使い勝手は最高でした。完全なパディ・システムで、ビーチもボートも徹底したバディ・システムです。ブリーフィング後はコースのガイドはしてくれますが全てダイバー本位、イクジットもバディ同士で自由に行います。なのでビギナー同士のバディでは少々厳しいかもしれません。
右上のボードは各エクスカーション(島外トリップ)の案内です。希望するアトラクション・ボードに名前を記入します。私たちはドルフィン・ウォッチングとナイト・フィッシングに記入しましたが、共にどういう訳か催行されませんでした。
左はスパです。到着後48時間以内だと15分間のサービス・マッサージを受けられました。上手だったので数日後60分のコースを再度お願いしました。極楽でした(^_^)
右は大晦日のガラ・ディナーです。コックさんの腕を競った芸術的料理が並びます。コックさんの多さにも驚きました。
浜辺をグルッと歩いても20分ほどで一周出来てしまう、この小さな島には50棟のコテージがありました。島の中には上記の施設以外にもバレーボール・コートにミニ・サッカー場やバスケット・コート、卓球台もありました。スタッフは推定ですが50〜60人はいるように感じました。
コテージは東西に長い米粒のような形をした島をぐるりと囲むように建っています。島の北東側は珊瑚で造られた防波堤があるので、ロケーション的には西か南西側のコテージがお勧めです。
ダイビングもそれ以外のエクスカーション(小旅行)、各アトラクションも食事も含めて、システマチックな感じを受けました。ゲストとしては気楽ですが、人数が集まらなければ催しものも中止だし、私たちが希望したエクスカーションは人数は足りていても行われず、中止の説明もありませんでした。聞けば理由を教えてくれるでしょうけど……。スタッフvsゲストのサッカー大会も楽しみにしていたのですが開催されませんでした。
食事は不味くはありませんが、朝・昼・晩とブッフェ・スタイルな上に味付けも似通っていて、正直言って2日目に飽きました。週に1度、数種のメニューの中から選ぶディナーがあります。昼の内に選び、夜に出されるのですが、これは美味しかった!(私はフィレ・ステーキをチョイス) ワインの種類&数も豊富で、こちらも文句なし。しかし、ディナーのスタート時間が8時というのは、ダイビングで腹がへった私には少々苦痛でした。食事を美味しくさせる魂胆かもしれません。
私もカミさんも大勢の人が集まる場所はあまり好きでは無いので、その伝でいけばこの島は最高でした。滞在中、日本人は私たちだけで、スイス、スウェーデン、ドイツ、イタリア人と知り合いました。もともと日本人はあまり来ない島なのか、大抵は片言の日本語を話せるスタッフが居るものですが、そんなスタッフも少なかったです。



ダイビング

ヴァカルには午前中に到着したので、その日の午後にチェック・ダイブをして欲しかったのですが午前中のみとのこと。それではと、その日の午後はシュノーケリングで島の周辺を散策しました。ところが、前夜の寝不足のせいか足がツリまくり。ちょっとフィンを煽っただけで足がツッてしまう。潮の流れも出てきたので、早々に退散しました。モルジブは潮流の変化が激しいので注意が必要です。
この島でシュノーケリングするなら、Aジェティから左へ回った方が良さそうです。
数日後にAジェティからBジェティまで左回りでシュノーケリングしたら、モルジブ名物のパウダーブルーサージョンフィッシュの群れに何度も遭遇しました(ページ・トップのカットです)。
それ以外にもアオウミガメの子供やピラミッドバタフライフィッシュ、アカモンガラ、カスミアジの群れやブラックチップシャークにも逢えました。島を半周するこのコースのシュノーケリングで、途中で逆流の潮の流れを受けましたが1時間ほどでした。日焼けにご注意を。カミさんは浮力の補助も兼ねてウェット・スーツ装着でした。

12月31日(月曜)  

★Aジェティ
まずはモルジブお決まりのチェック・ダイブ。バディを指定されてマスク・クリアーとオクトパスの交換チェック。その後、ジェティ周辺をバディ同士で散策。大きな大きなツバメウオがずっとくっついて後を追ってきていた。

最大水深=24.0m、平均水深=14.3m 潜水時間=52分 透明度=15m 【見られたサカナ】ツバメウオ(でっかい!)、ナンヨウミノカサゴ、コクテンフグほか

★ディドゥ・ベル・ファル
ヴァカルファリからドーニで片道70分ほどのポイント。流れがきつい、とブリーフィングを受けたけれど、さほどでもなかった。

最大水深=21.0m、平均水深=14.4m 潜水時間=61分 透明度=20m 【見られたサカナ】イーグルレイ、ナポレオン、ツムブリの群れ、アカモンガラの物凄い群れ、ヨスジフエダイほか
1月2日(水曜)  

★ヴァカルファリ・エトレ・ティラ
ヴァカルからドーニで約20分。周囲2kmほどのポッコリとしたサンゴ礁帯。バディがエアーが少なくなったので上層を行くというので、私は彼の下5mほどを進んでいたら、もっと近くに寄れと引率のイントラに怒られてしまった(;^_^A 確かに離れすぎだけど、少々うるさくとっても厳格なイントラでした。

最大水深=25.6m、平均水深=15.8m 潜水時間=54分 透明度=20m  【見られたサカナ】マダラエイ、カンモンハタ、キハダマグロ、ナポレオンほか

★ヴァカルファリ・ベル・ティラ
ヴァカルファリからドーニで片道25分ほどのポイント。マンタを始めホワイト&ブラックチップシャークや大物に遭遇する確率が高いと説明を受けたけれど、残念ながら期待のマンタには逢えず。

最大水深=21.0m、平均水深=14.4m 潜水時間=61分 透明度=15〜25m 【見られたサカナ】大きなアオウミガメ、ホワイトチップシャーク、ブラックチップシャーク、マダラエイほか
1月3日(木曜)  

★フクルー・エルヒ・ファル
今日は終日ボートで過ごす、フル・デイ・ダイブ・トリップ。ヴァカルからドーニに揺られて70分。マンタ遭遇率一番のポイントへ。到着した日にスイス人ダイバーに前日ここに潜ってマンタ8枚を見た、と聞いていたので期待にワクワク!

最大水深=18.4m、平均水深=13.0m 潜水時間=62分 透明度=25m 【見られたサカナ】マンタ7枚! 他にモンガラカワハギ、アカモンガラの物凄い群れなど

★マーミギリ・ベルー
ポイント近くの島で新しくリゾートの建設をしていて透明度が心配だったけれど、潜ってみたらやっぱりニゴニゴ。ガイドさん、気付きそうなものだけどなぁ。

最大水深=21.0m、平均水深=14.4m 潜水時間=61分 透明度=8〜15m 【見られたサカナ】ナポレオン、パウダーブルーサージョンフィッシュ、イエローヘッドバタフライフィッシュほか

ピック・アップ写真集のページです マンタとマーレの街並みの動画をアップしました。