エスプリット・サント島にはザッと7つのダイビング・ポイントがあるけれど、その中でも人気はプレジデント・クーリッジという全長201m、幅25m
総重量22,000トンもの巨大沈船のダイビング。
しかし、サント島に渡る直前まで、私はこの巨大沈船に潜るよりもブルーホールというその名の通り蒼い水をたたえた淡水池に潜ることを楽しみにしていました。沈船ダイブは一昨年行ったチューク

写真はシャンパンビーチ
で体験して充分と思ってました。
ところがサント島の沈船ダイブは減圧停止を伴うテクニカル・ダイブ。それもそのはず、この巨大沈船に潜るには、どうしても深く、長く潜らざるを得ないのです。よって減圧が必要となるのです。そこまでして潜る面白さが、プレジデント・クーリッジにはあるのです。サント島での滞在は6日間でしたがクーリッジをくまなく観るには日数不足でした。
画像が荒くて見づらいでしょうが、プレジデント・クーリッジがどのような状態で海底に横たわっているかはお分かり頂けるでしょう。
プレジデント・クーリッジはもともと豪華客船として就航したのですが戦争が始まると戦艦として利用されたのだそうです。なので、船の外側には20_キャノン砲やカーゴ内には軍用ジープなどがありますが、船内にはシャンデリアや“ザ・レディ”と呼ばれる彫刻品、スイミング・プールや映画『タイタニック』に出てきたような螺旋階段が残っています。サント島の沖合で入る航路を間違えて機雷に当たり、乗員や負傷兵を助けるため陸地に座礁させた直後に沈没し、この様に傾いたのだそうです。
減圧ダイビングなので、クーリッジに潜るのは1日に2本までと決められています。わたしは結局ナイトも含めて4本、クーリッジに潜りました。

後ほどダイビング・ログも記載しますが、日を追うごとに徐々に水深の深いポイントへと、潜っていきます。身体の大きな外人(後で話したらオーストラリア人でした)はダブル・タンクで、しかも減圧水域に予備タンクを沈めて潜っていました。
減圧水域にはサンゴ礁があり、サカナの種類も多いので、退屈することは無いのですが、外人はあまりサカナには興味が無いのかジ〜ッとしてました。エアーの消費を押さえているのでしょう。

上の図は私がThe Ladyに潜ったときのダイビング・ログです。縦メモリが水深、横が時間軸です。ダイビング時間の約半分を減圧に使用しているのが分かります。この時はレディのいる水深40m地点に約5分いて、その後船内を移動し、水深11mで6分、9mで9分、6mで11分の減圧停止をしました。
かつてはこの減圧停止中に体長120a、体重200sオーバーの巨大ハタが、餌をねだりにダイバーに擦り寄ってきたそうです。私はボロスと呼ばれていた彼に会いたかったのですが、数年前から現れなくなったそうです。餌付けされ、成人病ならぬサカナの糖尿病にでもなったのではないかと、現地のガイドさんは言っていました。
クリックすると拡大画像が見られます
船内に残るジープ レディを照らしていた?シャンデリア ザ・レディ
デッキの窓から船外へ アンカー 減圧中のダイバー
先にも書きましたが、サント島で一番私が潜りたかったのが右写真のブルーホールです。淡水清水の池で、この蒼さと驚くほどの透明度が売りなのですが、私が潜ったときはニゴニゴで透明度は7mほど。
実はここに来る前日、トンガで大きな地震がありました。直接の影響は無かったのですが、この日サント島でも地震があったのだそうです。午前中にこの池でシュノーケリングした人に会い、話をする内に地震があったことを知りました。
午前中、物凄い透明度に感激し昼食を摂っていたらグラグラっと揺れ、見る見る水底から煙のような泥が吹き出てきて濁ってしまった…と言うのです。
ガックリきました。持参ウェットが2_で寒さに耐えられないだろうからと大嫌いなフードまで用意して来たのに(T.T)
でも翌日、シャンパンビーチからの帰路、別のブルーホールに連れて行ってもらい、シュノーケリングを楽しむことが出来ました。
ブルーホールで見つけた水中ヘビ。海中ならスポテッドスネークイールですが、ここは淡水。………名前が分かりません(T.T) 熱帯魚のような綺麗な淡水魚がいました。淡水魚図鑑を持っていないので、こちらも名前が不明です。 翌日に訪れた、もう一つのブルーホール。サントには7つのブルーホールがあるそうです。まさにラピスラズリの蒼



右写真の島はアオレ島です。サントのダイビング・ポイントは、周辺を島々で囲まれているため、海は穏やかです。わたし達の滞在中も、最終日を除き、連日ご覧のように鏡のようなベタ凪でした。

サントに5泊した内、わたし達は3泊をサント島のコーラルキー・リゾートで、2泊を写真の島・アオレにあるアオレリゾートに宿泊しました。
アオレリゾートまでは舟で送迎してくれます。
サントの町中の移動には、バスもあるのですが(一律100VT=約110円)、待ち時間が長いのでタクシーを拾った方が早いです。町の外れにあるコーラルキー・リゾートから町中までは交渉如何ですが、大体500VTくらいです。町をブラブラしてると運転手の方から声を掛けてくるので、それから交渉した方が楽です。
ホテルと町の中華料理店で食事をしましたが、総体的に島の料理は美味しいです。
コーラルキーのコテージ コーラルキーの室内 コーラルキーの桟橋 ホテル前を行く子供達
アオレリゾートの送迎舟 アオレリゾート正面 アオレリゾートのコテージ アオレリゾート室内
町へ出るには不便だけれど、宿泊するならアオレ・リゾートの方をお勧めします。料理もコーラルキーより数段美味しかったし、コテージの前が直ぐ海辺なので、シュノーケリングしてそのままプールにドボン! も可能。コーラルキーはダイバー御用達…みたいなホテルでプールもあったけれど使用不可でした。 アオレからサントへの連絡送迎舟は、アオレから7時、8時、11時、13時30分、14時30分、16時とあり、それがサントからの復路となってアオレに戻るので、時間を確認して町に出ることは可能です。
でも、仮に町に出ても小さな町なので半日歩けば見て回れてしまいます。
多分、減圧ダイブで無ければOKなのでしょうが、サント島ではフライト前日のダインビングは不可なのだそうです。
帰路に就く前日、ダイビングが出来ないとあって、私たちは島の北東部にあるシャンパンビーチに行ってみることにしました。

シャンパンビーチの名前の由来は、海中でパチ、パチ、シュワ、シュワと音がすることからこの名が付いたのだそうです。
何でこの様な音が聞こえるかというと、海に川の水が流れ込み、混じり合うときに音がするのだそうです。
こう聞くと、日本の河口でも同じ音を聞けそうですが、そのような話を聞いた事がないので、この浜辺だけの現象なのでしょうか?
シュノーケリングをしているとパチパチいう音が聞こえますが、この海岸の何処でも聞こえるわけではありません。
水中の温度差が層となるとカゲロウのように見える、サーモクラインが見える場所で音は聞こえました。

このサーモクラインはブルーホールでも見ることが出来ましたが、幻想的でとても綺麗です。海中から海面を見上げると、色の異なるモヤモヤした層が揺らいでいるのです。何度かカメラに納めようとしたのですが、シュノーケリングの深度ではダメでした。
このシャンパンビーチは個人の持ち物らしく、誰でもが勝手に入るわけにはいかないようです。
運悪く、この日から天気が崩れ初めて、この日は雨が降ったり止んだりの天気。天気が良ければ海中に陽が差して、もっと綺麗だったでしょう。ウミガメやイカの群れ、多くのサカナ達が乱舞する浜辺を、この日は私たちと外人カップルだけが独占しました。




5月2日(火曜)

プレジデント・クーリッジ
「プロムナードデッキ」
気温:33度 水面温度:28.8度 水底温度:28度 透明度:25m 潜行開始:9時29分 浮上時刻:10時17分 潜水時間:48分 平均水深:15.7m 最大水深:33.9m  快晴
船主→プロムナードデッキ→カーゴ1→カーゴ2
5月2日(火曜)

チャールズリーフ
気温:34度 水面温度:29.9度 水底温度:28度 透明度:20m 潜行開始:11時22分 浮上時刻:12時20分 潜水時間:58分 平均水深:7.9m 最大水深:15.5m 曇り
帰路、船上よりパイロットホエールの尾びれ発見!
5月3日(水曜)

プレジデント・クーリッジ
「カーゴホール1&2」
気温:32度 水面温度:29.5度 水底温度:29度 透明度:15m 潜行開始:9時31分 浮上時刻:10時25分 潜水時間:54分 平均水深:16.7m 最大水深:36.6m  晴れ
カーゴ1→ジープ。ランタンフィッシュの乱舞。船上にてマーリンの連続ジャンプ発見!
5月3日(水曜)

プレジデント・クーリッジ
「ナイトダイブ」
気温:30度 水面温度:29.5度 水底温度:29度 透明度:15m 潜行開始:18時17分 浮上時刻:19時06分 潜水時間:49分 平均水深:13.0m 最大水深:32.5m  快晴
ランタンフィッシュの乱舞。写真撮るのは困難。
5月4日(木曜)

プレジデント・クーリッジ
「ザ・レィディ」
気温:33度 水面温度:29.4度 水底温度:29度 透明度:10m 潜行開始:9時32分 浮上時刻:10時26分 潜水時間:54分 平均水深:17.1m 最大水深:40.1m  快晴
5月4日(木曜)

ブルーホール
気温:30度 水面温度:26.2度 水底温度:23度 透明度:7m 潜行開始:13時04分 浮上時刻:13時14分 潜水時間:10分 平均水深:6.3m 最大水深:9.7m  雨
ピンクのムカデミノウミウシ
(1本目)
ゴマアイゴ(1本目) ホホスジタルミの幼魚(2本目) セグロスズメダイ…かな?(2本目)




サントではフィジーの何倍も強いというカバ(植物の根から抽出した汁)に挑戦してみました。一杯50VT、約55円です。不味いので一気に飲めと言われゴクゴクと飲み干したら、
喉に泥水を飲んだような後味が残りました。水でうがいをしてペチャクチャ話している内に舌がピリピリと痺れてきました。既にビールを結構飲んでいたので、徐々に増してくる酔いがカバのものなのかビールによるのか判然としなかったけれど、決して美味しいものでは無いので、どうせ飲むならワインの方がいいです。
左写真はカバを飲ませる「カバ・バー」
オーストラリアが近いので、こちらはワインが安いから、ワイン好きの私には有り難かった。

蚊が多いからと、蚊よけ対策万全で出向いたけれど、蚊よりもハエの方が煩わしかった。牛が多いので(サントの牛肉は抜群に美味い!)ハエが多いのも致し方ないのだろうけど。
それとダニが意外に多くて、タンナでもサントでもベッドで寝ている間にやられてしまった。蚊よりもダニの方が痒みがきつく、治りづらかった。蚊除けと一緒に痒み止めも必需品です。
島の人々は、中にはちょっと変な困った人もいるのだろうけど、私が会った人々はみな良い人ばかりだった。フランクで鷹揚でお金に対してもギスギスしていない。ポートビラの空港には写真のように墜落した飛行機が平然と置かれているし、万事がこの様に鷹揚なお国柄だった。ぼちぼち日本人もこんな生き方もあるのだと知るべきだと思った。
ポートビラではホテル「ザ・メラネシアン」の大数加さん、土山さんに、サントでは「アクアマリン」の真由美グリーンさんに大変お世話になった。ここでお礼させて頂きます。