いつもならとっくに行き先を決めているカミさんが、「今年の海の日は何処に行く?」と聞いてきた。

カミさんの口からいくつかの候補地が出てきたけれど、私にはどれも食指が動かず、言ってる当のカミさん自身も今ひとつ乗り気でないのが伝わってきた。「ちょっと考えるから待っとれ」と言って数週間が過ぎた。
実はその時点でわたし自身は行ってみたい海があったのだけれど、情報どころか地理的な知識すらあやふやだったので、少し調べたかったのだった。
それが屋久島だった。トレッキングの情報はいくつもネットで拾えるのに、ダイビングのそれは少なかった。それでもまぁまぁ情報を得ることが出来て2013年の海の日は、屋久島行きに決定した。
一番最初に決めたかったのがショップの選定だった。ところがネットで捜しても捜してもなかなか意に叶ったショップが見つからない。ダイビングガイドもするけれど、シーカヤックやら屋久島トレッキングのガイドもやっていたりと、「本業は何屋さん?」的なショップがほとんど。それでも何とか2つ見つけた。一つは島の南側、もう一つは島の北側。潜ってみたいポイントは南側にあるような感じだったけれど、夏場の南風を考えれば北側を選ぶべきだろうと最終判断し、ショップは屋久島ダイビングライフに決めた。結果的にオーナーは海中に詳しいだけでなく魚博士のような人だったし、台風接近で南側は潜れずで大正解だった。 クリックすると動画が見られます 7月10日、バタバタと仕事を終えて夜、羽田空港そばのホテルへと向かう。翌朝6:20発のフライトなので、当日ではタクシーで向かわねば間に合わない。10日の夕刻便で鹿児島まで飛ぶ事も考えたのだけれど、仕事をそれまでに終えられか心配だったので羽田で前泊することにした。
出発3日前に台風7号が発生した。心配していたけれど台風は北西に向かい、宮古島を直撃したけれど屋久島は連日ドピーカンだった。それでも海にはウネリが寄せ島の南側はすべて潜れなかったようだった。西側に潜りに行くこともショップオーナーは考えてくれていたようだったけど、それも無理とのことだった。
漁礁となってる零戦のエンジン部分 結局、ポイント的には3カ所しか潜れなかったけれど、屋久島の海はそれで充分だった。なにせ魚影が濃いのだ。半径5bほどのエリアにワンサと魚がいる。左写真のポイント(ゼロ戦)などは、見ての通り砂地にゼロ戦のエンジン部分だけがポツネンと残っているだけだ。そこにワラワラと魚やエビたちが群れているのだ。ほんの2畳ほどのエリアだけれど、1時間いても飽きなかった。
鹿児島からの双発プロペラ機に乗っていた乗客の殆どが、登山目的のようだった。皆、真新しい登山服に新品の靴を履いてた。ベテラン登山家の姿も数人見かけたけど、大多数がビギナー登山者だった。
来島者のほとんどが山目的。どおりでダイビング専門に看板を掲げるショップが少ない訳だ。しかし、そのおかげでダイバーには天国のような海だった。魚はスレてなくダイバーが寄っていっても逃げないし、何より自由に潜れるのが嬉しい。ダイバーが少ないってのはショップの方には申し訳ないけど、カメラ派のダイバーには同じポイントを何度潜っても飽きさせない海だった。
島には民宿など宿泊施設はたくさんある。私たちはダイビングショップに近い宮之浦港に面したシーサイドホテルを利用した。綺麗で大浴場もあって申し分なし。但し、食事を除いて。夕食は事前の予約制なのだそうな。
屋久島シーサイドホテル 宿泊当日、夕食を摂ろうとしたら予約制なので提供出来ないという。仕方なくホテル近くにある評判だという潮騒へ向かった(徒歩5分ほど)。しかしこの日は生憎の定休日(泣)。その先にあったハンバーグ店に入ったが味はイマイチ。グルメ散策したわけではないけれど、屋久島の外食はあまり期待しない方が良さそう。トビオウオラーメンは美味しかったけれど。ちなみに島内でやたらカレー店の看板が目に付いた。
都合3日潜ってから島の南東にある高級リゾートホテル、サンカラリゾートに移動した。このホテル、信じられない宿泊費なのだけど、それだけの事はあった。
サンカラリゾートの室内 泊まった事は無いけれど、人伝に聞いたリッツカールトンの経営に近いようなサービスだった。スタッフは総勢60人ほどいるらしいのだけれど、ほぼ全員が私たちの趣味や渡航の目的を知っていた。迎えの車の中でドライバーさんとした会話が、到着時にスタッフ全員に情報伝達されたのだと思う。部屋は左写真のようにとにかく広い。この写真に写っていない右側に、まだ8畳ほどのスペースがありその向こう側はベランダだ。シャワールームとバスタブが個別なのも使いやすかった。ビールや焼酎、ハーブティーなどもフリードリンク制だった。敷地も広く、部屋とメイン・ロビーへは電動カートで送迎してくれる。
サンカラリゾートのプールサイド
このホテルを利用したのは世界文化遺産の縄文杉を見るためだった。登山経路に近いのだ(もっと近くて安い宿泊施設もあるけど)。登山は早朝4時15分の出発。なのでせっかくの素晴らしいホテルだけれど、到着日は早々に就寝。
翌朝3時30分に起床しホテルを出発。30分ほどで登山バス乗り場に到着。まだ真っ暗なのにバス待ちの人でごった返していた。4台目のバスに乗り込めた。登山口までは40分ほど。6時30分登山開始。踏破距離往復22q、標高差は700bほど。大したことないと思っていたけれど、けっこうきつかった。帰りのトロッコ道がやけに長く感じられた。ホテルに戻ってきたのが19時前。実に15時間の行程だった。部屋に戻り急いでシャワーを浴び、ワイン飲みながら食事をしたらダウン寸前になった。空は満天の星空で天の川も見えていたけれど、既に体力の限界。卒倒しそうな宿泊代払って本当に気絶してしまった。勿体なかったなぁ。
この屋久島は周囲約105qあって、車でグルッと回ると3時間ほどかかる。島全体が山のようで、実際に九州の標高上位ベスト8までの山がこの屋久島にある。
わたしはリピートはしない主義なのだけれど、屋久島にはきっと再訪すると思う。海も山も素晴らしい島だった。私のお気に入りの島がひとつ増えた。サンカラリゾートを再び利用するかは微妙なところだけど。 
【2013年7月 記】
【海編】
ヤツシハゼの仲間 クビアカハゼ
アカハチハゼ ウミタケハゼの仲間
マダラトラギス 卵抱えたモンハナシャコ
ナガサキスズメダイ幼魚 アマミスズメダイ幼魚
カゴカキダイとロクセンフエダイ タテジマキンチャクダイ
ハナゴンベの幼魚 イシガキカエルウオ
ミナミギンポ ヘコアユ
クマドリカエルアンコウ幼魚 イロブダイ幼魚
ジョーフィッシュ メガネウマヅラハギ
ノドグロベラ幼魚 セジロノドグロベラ幼魚
ホワイトソックス スザクサラサエビ
アカシマシラヒゲエビ イソギンチャクモエビの井戸端会議
ビシャモンエビ アシビロサンゴヤドカリ
アカツメサンゴヤドカリ ツマジロサンゴヤドカリ
ベニワモンヤドカリ マルソデカラッパ
カンザシヤドカリとイバラカンザシ ホシゾラワラエビ
ウツボとスザクサラサエビ ワライヤドリエビ
ウミタケハゼ、かな? テグリの幼魚
【潜ったポイント】一湊地区 タンク下(平均水深9m〜最大水深17m)、お宮前(平均水深13m〜最大水深26m)、ゼロ戦(平均水深16m〜最大水深25m)詳細はコチラ
【山編】
トロッコ線路の分岐器
苔むす森 縄文杉
ウィルソン株