今年9月にマジュロとチュークを訪れて「これが今年最後のダイビングだろう」と思っていたのに、日々の雑事に追われる内に心はいつしか南の海に。
その気持ちは日に日に大きくなってきて「よし! ヤップに行ってみよう!」と決めた時点(10月も下旬)では、グアム=ヤップ間のチケットは確保できたものの、成田→グアム間が満席(T.T)  多分、取れないと言われて諦めかけていた矢先、出発予定日の8日前に突然「キャンセルが出た」との連絡が入った。
あまりに突然だったものだから、取れた嬉しさよりも焦りでオロオロ。一気に仕事を片付けなくてはならなくなって、出発までの1週間は、猛烈な忙しさにアッという間に過ぎていった。
ヤップではマンタことオニイトマキエイに会うことが目的だった。ダイビング誌などで遭遇率100lと書いてあるが、今回のヤップで私にとっての遭遇率は30lほどだった。訪れて判ったけれど、ヤップは決してマンタの島ではない。もっともっと別の楽しみがある島だった。


ヤップ島は成田からだと、飛行時間にして約5時間という距離だ。それなのに乗り継ぎの悪さから、グアム経由で最短で行っても12時間以上かかってしまう(2004年11月現在)。

本当だったら、私たちは土曜日のグアム便に乗りヤップへ向かいたかったが、結局希望の便は取れずに金曜の深夜にグアム入りし、翌日の夕刻ヤップへ向かった。そのお陰で今まで素通りしていたグアムを少しばかり散策できたけれど(グアムの紹介ページはコチラから)。

グアムからヤップ→パラオ(コロール)と結ぶコンチネンタル・ミクロネシア線は、時にグアム→コロール→ヤップと飛んだり、便によってはグアム→ヤップ→コロール→マニラと飛んでいる(実際、フィリッピン人らしき顔立ちの人々を結構見かけた)。

グアムから搭乗する際には、多くの日本人がいたけれど、ヤップで降りたのは私たち以外に一人だけだった。
その人にしたって“日本人っぽい”だけのことで、果たして本当に日本人か否かは定かでない。皆、パラオかフィリッピンに向かったようだ。確かにダイビングするならパラオの方がメジャーだからなぁ(~_~;) 

実は私たちは20数年前にパラオを訪れている(その際にヤップにも数十分降り立った)。
その時のパラオのインパクトが強烈に残っているので、私はパラオには行きたくない。気に入った場所は極力、再訪しないことにしているから。

もしも20数年ぶりの今のパラオに訪れれば、その変わり様に驚くことは間違いないからだ。それが嬉しい驚きなら良いけれど、まずそんな事は考えられない。今回訪れたヤップ島だって空港がとても綺麗になっていて(新空港)、驚いたくらいだから。


●11月21日(日) マンタリッジ→クリーニングステーション(浅場)

EN=11:30 EX=12:36(66分) 平気水深=11.0m 最大深度=18.3m 天候=晴れ 気温=33度 水面水温=31度 水底水温=30度 透明度=20b 流れ=所により有り

出会えた生物=オニイトマキエイ、ソウシハギ、ギンガメアジ大群、ヤシャベラほか
※ヤップ島到着翌日の初ダイブでマンタとご対面。「コリャ、幸先良いわいな」と思ったけれど、この後マンタに逢えたのは最終日のラストダイブだった。
●11月21日(日) クリーニングステーション(深場)

EN=14:14 EX=15:22(68分) 平気水深=12.1m 最大深度=22.5m 天候=晴れ 気温=33度 水面水温=31度 水底水温=30度 透明度=15b 流れ=ナシ

出会えた生物=ミナミハタタテダイ、クロヒラアジ、ミカヅキツバメウオ、ゴマモンガラほか

※40aを超える大きさのゴマンモンガラの攻撃を受けた。尾を下にして(頭が上)ハスになってこちらをギョロリと睨んでいるから、なんか変だなと思った瞬間にはアタックされていた。怪我がなくて何よりだったけど、怖かった〜(~_~;) 慌てて浅場に移動したけれど、こんな状況で潜水病になったりするのだろうな。緊急浮上は極力さけたい。
●11月22日(月) ガーデンイール・フラッツ(ナマコヘブン)

EN=9:58 EX=11:14(76分) 平気水深=10.4m 最大深度=18.0m 天候=晴れ/曇り 気温=33度 水面水温=30度 水底水温=29度 透明度=20b 流れ=ナシ

出会えた生物=ヒレフリサンカクハゼ、ラインフォーズゴビー、オシャレカクレエビ、アカスジモエビ、オトヒメエビ、アオノメハタ、ギンガハゼ、オドリハゼ、ネオンワーム、オレンジワームゴビー、デバスズメダイ(婚姻色)、クロオビアトヒキテンジクダイほか

※マッタリと小物三昧。ハゼはギンガからオドリ、クロユリ、ハタタテほかニシキテグリやマンジュウイシモチ、とにかく出るわ、出るわ! ハゼや小物好きにはたまらないポイントだ。
●11月22日(月) ミルチャネル→クリーニングステーション

EN=13:06 EX=14:00(54分) 平気水深=13.7m 最大深度=24.3m 天候=晴れ 気温=34度 水面水温=30度 水底水温=29度 透明度=40b 流れ=ナシ

出会えた生物=ギンガメアジ大群!、カスミアジ、バラクーダ、グレリーフシャークほか

※マンタに逢うには潮具合が大切だそうで、潮が動き出すのを待って入ったけれど逢えず(T.T)
それでもギンガメやマダラタルミ、バラクーダの群れは当然のようにお出迎えしてくれた。
●11月22日(月) ミルチャネル

EN=15:11 EX=16:19(68分) 平気水深=11.0m 最大深度=19.4m 天候=晴れ 気温=34度 水面水温=31度 水底水温=29度 透明度=10b 流れ=ナシ

出会えた生物=マンジュウイシモチ、オバケインコハゼ、ナポレオン(1b超!)、グレリーフシャーク、クロヒラアジほか

※浅場のせいか透明度はイマイチ。多分、スッコ〜ンと抜けるときも有るのだろうけど…。
ここもマンタのクリーニング・ポイントだけれど、この水深でマンタと遭遇したら迫力だろうなぁ。
●11月23日(火) ミルポイント

EN=10:29 EX=11:36(67分) 平気水深=13.2m 最大深度=23.7m 天候=晴れ 気温=30度 水面水温=30度 水底水温=29度 透明度=40b 流れ=ナシ

出会えた生物=巨大ナポレオン(1b超!)、グレリーフシャーク、モンツキカエルウオ、ゴマモンガラ、巨大ヘラヤガラ、ヒラムシ、クロヒラアジほか

※スパゲッティ・ファクトリーからミルポイントまでを横切った。今年5月に行ったランギロアのディプタ・パスに雰囲気が似ていた。透明度も良く、潮廻りが良ければきっと大物がガンガン出てきそうなポイントだった。遭遇したサカナ達がみな大きいのでビックリ!
●11月23日(火) ミルコーナー

EN=13:13 EX=14:18(65分) 平気水深=11.4m 最大深度=21.5m 天候=晴れ 気温=32度 水面水温=30度 水底水温=29度 透明度=15〜25b 流れ=ナシ

出会えた生物=ギンガメアジ大群、マダラタルミ大群、ソウシハギ、ヤシャベラほか

※ヤップのポイントは島中いたる所にあるけれど、マンタに固執しなければ色々と変化に富んだ海中を散策できるに違いない。ここもマンタのポイントだそうだが、残念ながら逢えなかった。海況も安定していたのにマンタに固執して失敗(;^_^A 外洋に出てみれば良かったかもしれない。
●11月23日(火) クリーニングステーション(浅場)

EN=15:50 EX=17:05(75分) 平気水深=10.8m 最大深度=18.7m 天候=晴れ/曇り 気温=30度 水面水温=30度 水底水温=29度 透明度=10〜15b 流れ=少し

出会えた生物=オニイトマキエイ(2枚)、巨大カンムリベラ(1.5b超)、ギンガメアジ大群、マダラタルミ大群、タテジマキンチャクダイ、ソメワケヤッコほか

※待望のマンタにやっと再び逢えた。音もなく突然に目の前に現れるその瞬間は、いつもドキドキする。最近は外洋から入ってきたサメにやられることもあるのだとか。あんな大きな図体なのに、攻撃を防御するすべがないというのも悲しいなぁ。
●11月23日(火) タラン

EN=17:41 EX=17:57(16分) 平気水深=3.8m 最大深度=4.9m 天候=晴れ 気温=30度 水面水温=30度 水底水温=30度 透明度=8〜10b 流れ=ナシ

出会えた生物=マンジュウイシモチ、ニシキテグリ、オバケインコハゼほか

※ニシキテグリがいるというので、特別に連れて行ってもらった。とってもレアなサカナだと思っていたけれど、出るワ、出るわ! 一匹見つけたら隠れてしまったのでジッと待っていたら、何の事は無い、足下に4、5匹がチョロチョロしていた(^_^;;;
マンジュウイシモチも群れていて、被写体ゴロゴロのポイントでした。
ヤップ島のダイビングは、マンタばかりがクローズ・アップされているけれど、もしもマンタに逢うだけが目的なら日本の石垣島北部のマンタ・スクランブルに潜った方がいいと思う。それよりもヤップ島では、島の周囲に30近く点在するポイントをその日の海況に合わせて潜った方が良いだろう。 小物から大物まで、とにかく魚影が濃くそのどれもがダイバーを恐れないのだから、マンタだけに気を取られて他のサカナ達を見ず、海中散策を楽しまないのは非常にもったいない事だ。ハゼなどの小サカナに見とれている頭上をマンタが悠然と通り過ぎるのも、良いじゃないか。


いつも通りに何の予備知識も持たずに入ったヤップ島は、想像していたよりも開発されていなかった。ホテルも4軒ほどしかなく、外食できるレストランは見つけられなかった。だから、食事はホテルのレストランを渡り歩いていたけれど、何処もメニューが少ない。食事に関しては選ぶことで迷う事はまず無い。敢えてお勧めするならパスウェイズ・ホテル。ここのシズリング(炒め物)は美味しかった(ビーフ、ポーク、チキンの3種類だけ)。
私たちが訪れる年の4月に大型の台風が上陸し、その時の傷跡がそこら中に残っていた(半年以上もたっているのに!)。先ほどのパスウェイズ・ホテルも青いビニール・シートを掛けての営業だった。
私たちが宿泊したESAベイビュー・ホテルも食堂が崩壊したとかで、仮住まいの食堂だった。
すぐに復旧させてしまえば良さそうなものだが、きっと元々の勤労意欲の低さがそうさせるのだろう。聞いたところでは、アメリカから多額の災害救助金が支給され、みな車を買ったり(確かに新しい車が目立った)、遊びほうけているとのことだった。

ホテル従業員のおばちゃん達も自分たちの仕事が終われば写真のように花札で遊んでいた。「アオタン、アカタン、イノシカチョウにツキミデイッパイ……」……日本語でゲームしているのには驚いた!

ESAベイビュー・ホテル正面玄関 仮住まいのレストラン。見事に簡素(^_^;;; 卓上の調味料はタッパ入り、カップもこの通り シートが張られたパスウェイズ・レストラン 日本の花札に興じる島のおばちゃん達
それにしても、この島にも戦争の傷跡が今も一杯残っていた。きっとあと100年くらいこのまま残っているんじゃないだろうか。
この様な現実を日本の子供達に見せてやりたいなぁ。どんな事を考えるのだろう? 学校の歴史教科書よりも説得力があると思うけれどなぁ。
9月に訪れたチュークも似たような島だけれど、一つ違和感を感じたのは小さな子供が少なかったこと。
村が島中に点在しているから、村の中に隠れて居て私が気が付かないだけなのかもしれないけど、出来ればヤップの子供達にもう少し会ってみたかった。
放置されたままの日本軍・ゼロ戦 ゼロ戦脇にぽつねんと佇む高射砲 防空壕の入り口。高さは1mほどしかない 日本軍の戦闘機。尾翼の機銃が転がっていた 海底にあった日本軍が設置した機雷の台座
ヤップ島の女性は胸を出すことに羞恥が無いそうで、町中でも何度かトップレスで買い物をするおばさん達を見かけた。流石に若い女性やホテルなどで働く女性は洋服を身に付けているけれど、公式行事や祝いの場などではいまだに正装である腰箕を身につけるそうだ。日本ならさしずめ正月の晴れ着のようなものだ。
ヤップ島の空港に降り立ったとき、歓迎のレイをかけてくれる若い男女がこの衣装で登場されたものだから、目のやり場に困ってしまった。
ヤップ島は村単位で自治されているそうだ。今ではそんなことは無いだろうが、島には文字という物が無く、伝承は踊りで伝えられてきたそうだ。いくつもある伝承舞踊を長老達が見守る中で若者達が練習をし、長老達がOKを出すと公式行事で披露されるという。
たまたま私たちが訪れた際、この練習風景を見ることが出来た。踊りで歴史を伝承しているそうだけど、そういえば北海道のアイヌも歌で伝承していたな。

ヤップ島は、その島全体が個人の敷地がほとんどで、公共の場は村の集会場や道路など一部しかない。村の集会場を見学するにしても入村届け(?)が必要のようだ。だからやたらうろちょろすると、無断家宅侵入って事になって、結構トラブルことがあるそうなので、島内を散策する際はくれぐれも御注意のほどを。
もしも島内を散策するなら、事前に地元の人に入っても良い場所を聞いておくか、ツアー・ガイドをお願いするほうが無難です。

代表的な村の男の集会場。いくつもの石の貨幣が並べられている 散策途中に見つけたガソリン・スタンド。取手付きポリ容器で量り売りだ 道端で見つけた道標。でも、矢印の方向がかなりアバウトだった
島の周囲は大半がマングローブ林。細い水路を抜けてダイビング・ポイントへ マダデヒル頂上からの眺望。素晴らしい景色が360度広がる BEAUTY SALONと書いてあるけど、中をのぞく度胸は無かった(;^_^A